会員数900万人を誇る「コカ・コーラ パーク」。日本コカ・コーラが運営する同サイトの販促力は、企業のマーケティング担当者らにとって垂涎(すいぜん)の的です。自社で一から、こうしたサイトを作るのは至難の業。そんな常識を覆すのが、日本でも本格的な普及の兆しが見えつつあるSNS「Facebook」です。ここに無料で開設できる企業ページには数十万、数百万のファンを集めることも夢ではありません。Facebookを活用した販促術を扱う全5回の連載の第1回では、様々な危機を乗り越えてきた米フェイスブックの歩みを紹介します。本記事はネット業界の盛衰に詳しい滑川海彦氏の寄稿です。(日経デジタルマーケティング 中村勇介)
「中国、インド、Facebook」という言葉をよく聞く。中国の人口が13億人、インドが12億人、そしてFacebookのユーザー数が5億人。もしFacebookが国ならば人口世界3位の大国、という意味だ。運営する米フェイスブックは株式を公開していないが、時価総額は330億ドル(約2兆8000億円)と評価されている(注:2011年1月時点では500億ドル=約4兆1000億円の評価)。
Facebookはサービスの一般公開から4年あまり。その過程には様々な危機と創業者マーク・ザッカーバーグ氏が下した決断があった。
■決断1 ハーバードを中退
Facebookは、米ハーバード大学に在学中だったザッカーバーグ氏が、数人の友人と共に作った学生限定のサービスだった。瞬く間にハーバード、イェール、スタンフォードなどの米国のエリート大学を席巻する。しかし親が歯科医の平凡な家庭に生まれたザッカーバーグ氏には十分な資金が用意できず、いつ運営資金が尽きるか綱渡りの状態が続いた。
ザッカーバーグ氏は2004年夏、大学を休学して(その後結局中退した)シリコンバレーに移住し、Facebookのビジネス化に全精力を傾ける決断をする。ここで音楽共有サイト「Napster」の創業者、ショーン・パーカー氏と知り合い、その援助で有力ベンチャー投資家からの資金調達に成功する。この間にハーバードに残った創業メンバーとの関係がこじれて訴訟を起こされてしまう。この経緯は映画「ソーシャル・ネットワーク」に描かれている。
Facebookはその後の2年間で全米の大学生、高校生、教職員の間で圧倒的な支持を受ける。ニッチなSNSのまま成長を続けることもできたはずだが、2006年9月に会員資格の制限を撤廃し、誰でもユーザーになれるように門戸を開放する。
これによってユーザー数は飛躍的に増えたが、同時に運営経費も比例して増えていく。収入を得るビジネスモデルはバナー広告以外になく、ベンチャーキャピタルからの資金調達による自転車操業の時期が長く続く。
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