NTTドコモは26日、25日午前に発生した音声・データ通信の障害について会見した。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の急増に対応するため新型のパケット交換機に切り替えたものの、想定を上回る信号量が発生したため、ネットワークが不具合を起こしたという。同社の岩崎文夫取締役常務執行役員は、「お客様に多大なるご迷惑をおかけしたことをお詫びします」と謝罪。スマホは従来の携帯電話に比べて1台あたり10倍の信号量を発生させる。通信会社はインフラ増強に追われているが、KDDIでも25日深夜に通信障害が起きるなど、音声・データの処理能力の向上が急務となっている。
今回の通信障害は、25日未明に実施した新型パケット交換機への切り替え作業が原因。切り替えた新型パケット交換機がパケットを使って音声をやり取りする「VoIP」やチャットといったコミュニケーション系アプリの急激な普及によって増加した「制御信号」を処理しきれず、25日8時26分ころから交換機の動作が不安定になった。その後、ネットワーク装置の自律規制により、パケット通信に加えて音声通信も利用しづらい状態に陥った。ドコモは11時前にパケット交換機を切り替えて前の状態に戻す作業に踏み切り、13時8分に事態を収束させた。
新型交換機への切り替え作業はパケット交換機の「同時接続数」が想定していたトラフィックの上限に近づいたために実施したという。ところが「制御信号の想定に甘さがあった」(岩崎取締役)。スマホ上で動くコミュニケーション系アプリが発生させる制御信号が急激に増加しているのを見落としていたのだ。
移行前にはパケット交換機の処理能力の信号量は2750万(1時間あたり)あったのに対して、新型パケット交換機の能力は1410万(同)。トラブル発生後、現状の信号量は1650万(推定)と算出したが、新型交換機の能力はこれを大きく下回る。このため処理能力不足に陥り、ネットワーク全体に影響を及ぼした。岩崎取締役は「同時接続数の増強に目を奪われ、信号量の増大を甘く見積もっていた」と話した。
今回のトラブルの背景には、急速なスマホの普及がある。従来の携帯電話は利用状況に応じてネットワークへの接続と切断を繰り返すが、スマホは「常時接続」が前提で、ネットワーク制御方式が大きく異なる。制御信号を発生させたコミュニケーションアプリはスマホの浸透とともに広がり、2011年の秋ころから急速に増え始めていたという。「スマホは従来型の携帯電話に比べ、データ量も信号量も10倍くらい発生する」(岩崎取締役)。スマホ市場の拡大に対して、ネットワーク側の対策が後手に回っているのが現状だ。
NTTドコモは昨年12月20日にスマホ向けのメール送受信サービス「spモード」で利用者がメールを送信した際に、第三者のアドレスが表示されてしまうトラブルを起こした。1月1日にもspモードで、メールの送受信がしにくくなる障害が発生している。携帯電話業界では今後、利用者がスマホに乗り換える動きが加速すると見ており、通信会社は当初のインフラ増強計画の見直しを迫られる可能性がある。
NTTドコモは2月中旬までに全国のパケット交換機の処理能力を一斉点検するほか、制御信号の増加に対応した設備の増設を2月中旬以降速やかに実施、8月中旬までにパケット交換機のさらなる処理能力向上を図る。一連のトラブルに対する会社としての対策は、山田隆持社長が登壇する27日の決算発表の場で説明するとした。
(電子報道部 松本敏明)
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