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ソーシャルメディア、飛び付く前にまず確認
ブロガー 藤代 裕之

2010/4/27 9:00
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テーブルマーク(旧加ト吉)はツイッターをビジネスに活用

テーブルマーク(旧加ト吉)はツイッターをビジネスに活用

 新しいもの好きはどこの世界にもいる。雑誌や新聞といったマスメディアも「ニュース性」を重視するため、旬のサービスばかりを横並びで取り上げがちだ。だが、「ツイッターを始めなければ乗り遅れる!」「ブログはもう終わり?」などと外部からあおられて、急いでソーシャルメディアの世界に飛び込む前に、それぞれの特性を確認しておいても損はない。

 実際、ソーシャルメディアと一口に言っても多種多様だ。ブログや動画共有サイトの「YouTube(ユーチューブ)」はだれでも知っているだろう。出張でホテルを探すときに旅行サイトに記述された「口コミ情報」を参考にしたり、アマゾン・ドット・コムで書籍を購入する際に「レビュー」を確認したりするビジネスパーソンも多いはずだ。

 これらのソーシャルメディアは基本的に個人向けのサービスだが、最近はマーケティングなどビジネスで利用しようとする企業も増えている。ただ移り変わりが激しいだけに、どれをどう使えばいいのか企業側も手探りで、目的と手段を混同しているようなケースも目に付く。今回はビジネスで活用するという視点から各ソーシャルメディアの特徴を紹介したい。

ブログ 個人メディアがマーケティングを拡大

 2003~04年ごろから国内で広がり始め、今では芸能人やスポーツ選手、研究者や政治家まで幅広く利用している。日本では当初「日記サイト」などと呼ばれたが、デザインやブログ名、パーツなどで個性を表現しやすいため、さまざまなタイプのブログが生まれている。09年1月末でブログの国内登録者数は約2695万人、市場規模は約160億円、関連市場も含めると約1961億円と推計されている(総務省の統計)。

 ブログの記事は、「Google」「Yahoo!」といった検索エンジンに表示されるため、著名ブログのアクセス数は多い。書評や食べ歩きなど特定のジャンルに強いブロガーもいる。こうしたブログに商品やサービスを取り上げてもらう口コミマーケティングがビジネスとなっており、最近は新製品発表会や記者会見にブロガーを招待する企業もある。

 ブログパーツと呼ばれる機能を提供して情報を発信する手法も広がっている。ファーストリテイリングの「ユニクロック」は、ブログの画面上に無表情に踊る女性と時刻を交互に表示する映像を流して話題になった。ブロガーが自分のブログに「ユニクロック」を張り付けるだけで、映像プロモーションの効果を期待できるわけだ。

SNS コミュニティーからビジネスのヒントを

 ブログが「個人メディア」だとすれば、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は人と人のつながりを基盤とした「コミュニティーメディア」と言える。09年1月末の国内登録者数は約7134万人。ユーザー数はブログを超えているが、市場規模は関連を含めて約568億円と、ブログよりも小さい(総務省の統計)。

 会員登録に友人や知り合いなどの紹介が必要な「招待制」のSNSも多く、当初は不特定多数に開かれたブログに対して、クローズドな安心感や特別感が売りになっていた。広告モデルのほか、ゲームなどのサービスにより課金するビジネスモデルがあり、ゲーム企業とのタイアップなども行われている。

 SNSのコミュニティーはブログと違い、個人の著名ユーザーが登場しにくい構造だが、コミュニティーの管理人が大きな影響力を持つ場合もある。コミュニティーには出身校や地域、好きな芸能人や商品、サービスなどを軸に、同じ興味や関心を持つ人が集まるため、最新の情報や「裏情報」が書き込まれることも多い。リスクマネジメントや商品開発のヒントを得るため、書き込まれた内容を確認している企業もある。

ミニブログ リアルタイム性が最大の武器

 「Twitter(ツイッター)」に代表されるいま最も注目されるメディア。「マイクロブログ」「つぶやきブログ」とも呼ばれる。ツイッターの場合で140字というように、書き込む字数が制限されている。日本企業のサービスでは「Amebaなう」や「Timelog」などがあり、ミクシィの「ミクシィボイス」はSNSと組み合わせて使えるようになっている。

 最大の特徴はリアルタイム性だ。一つひとつの書き込みは数秒から数分で消費されていく。瞬く間に話題が広がるが持続することは少なく、テレビやラジオのように流し読みする人もいる。シンポジウムやテレビを見ながら感想や意見を書き込むユーザーも多い。ビジネス利用は始まったばかりだが、EC(電子商取引)サイトのタイムセール告知など、リアルタイム性を生かして商品を売り上げる企業もある。ユーザーとのやり取りから、企業やサービスの知名度を向上させたり、改善につなげたりする取り組みもある。

動画共有サイト・生中継サイト コンテンツ産業が注目

ニコニコ動画はネットで生中継の機能も

ニコニコ動画はネットで生中継の機能も

 YouTubeや「ニコニコ動画」「Ustream」などのサービスが代表的だ。ユーザーが撮影した動画をアップロードするだけだったが、最近は生中継を配信できるようなサービスが増えて注目度が大きく高まった。一般ユーザーによる生中継は「ダダ漏れ」とも呼ばれ、省庁や企業の記者会見などもネットで中継されるようになっている。ただし運営事業者はビジネス化に苦しんでいるようだ。

 アニメや音楽が動画共有サイトで再生されヒットした例も少なくない。このため、コマーシャルや映画などの予告の映像を先行してアップロードして話題を提供したり、「バイラル(口コミ)ムービー」と呼ばれる動画を利用してブログでの口コミを広げたりと、コンテンツ産業からの注目を集めている。以前は違法動画も多かったが、テレビ局や権利者団体との調整も進んでいる。

レビューサイト 「誠実さ」を要求される場合も

 ブログやSNS、ミニブログのようにユーザーが自分のメディアを持つサービスではなく、レビューに特化したサイト。商品やサービスに対してユーザーが「書き込みに行く」ものになっている。価格.com(カカクコム)やアマゾン・ドット・コム、楽天トラベルなどが知られている。

 カカクコムではカメラやパソコンの最安値が表示されており、量販店やECサイトへの影響力がある。カメラなどはマニアなファンも多く、不具合などがあると書き込みが相次ぐ。旅行サイトに書き込まれるユーザーの感想・情報にはホテルなどの担当者からのコメントが並列して表示され、書き込まない場合は「誠実ではない」という声につながることもあり、ホテル業には無視できない存在となっている。

ウィキペディア 利用には便利だが企業には思わぬ落とし穴

 ネット上でユーザーが作る百科事典。内容に間違いもあるが、広く利用されているため、ウィキペディアへの書き込みが「本当」と勘違いされて流布される「ウィキペディアリスク」が生まれつつある。

 「Wiki」と呼ばれるウェブサイトの共同執筆・編集システムの一種を利用して作られており、ウィキペディアは「Wiki+Encyclopedia(百科事典)」の造語。Wikiは社内共有などにも使われる。なお、ウィキペディアへの書き込みは履歴として記録・公開されており、07年には総務省や文部科学省などから、都合が悪い記述の削除や自画自賛的な書き込みをしていたとみられる形跡があることが明らかになった。企業不祥事なども書き込まれるため、販促やマーケティングといった企業活動ではなく、ブランディングやリスクマネジメントなどの面で企業に影響する。

 以上のように、ソーシャルメディアにはそれぞれ特徴がある。クレームなどが集中する「炎上」の怖さもあり、リスクが高いように感じるかもしれないが、ソーシャルメディアでは企業は嘘をつくことができないだけだ。ソーシャルメディアを使ってユーザーと関係を築くためには、一般のユーザーに提供する情報をコントロールできるマスメディアを使った広告とは大きく異なる手法、考え方が必要になってくる。

〈筆者プロフィル〉 藤代裕之(ふじしろ・ひろゆき) ジャーナリスト・ブロガー。1973年徳島県生まれ、立教大学21世紀社会デザイン研究科修了。徳島新聞記者などを経て、ネット企業で新サービス立ち上げや研究開発支援を行う。学習院大学非常勤講師。2004年からブログ「ガ島通信」(http://d.hatena.ne.jp/gatonews/)を執筆、日本のアルファブロガーの1人として知られる。

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ソーシャル・ネットワーキング・サービス、SNS、Twitter、ソーシャルメディア、ユニクロック、Wiki、Timelog、ブログパーツ、Ustream、マイクロブログ、動画共有サイト

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