ソーシャルメディアを販売促進やマーケティング調査に活用する企業が増えているが、ブームに乗って安易に取り組むと失敗しかねない。米企業では専任のソーシャルメディア担当者を置く例が出てきているが、国内では広報部門などが兼務している場合がほとんどだろう。広報担当者が広告代理店やPR会社に聞きながら対処する例も少なくないが、企業のソーシャルメディア活用は始まったばかり。PR会社も確立した手法を備えているとは言いがたい。社内外を問わず、少しでも多くの経験を持つ人材に任せることが成功へのカギになる。
UCC上島珈琲の教訓
担当者の経験がどれだけ重要になるかを、UCC上島珈琲の例で見てみよう。今年2月にミニブログ「ツイッター」向けに展開したキャンペーンで、同社は了承を得ていないユーザーにも自動的に宣伝メッセージを送付してしまい、インターネットユーザーから多くの批判を浴びた。
だが午前10時にキャンペーンを開始したものの、問題発覚後すぐにトップの決断を求めて2時間後の12時には中止。この迅速な対応で騒動は収束に向かった。メディアへの説明会などでも経緯を開示したため、「失敗」の事例というより「危機をいかに回避したか」という点で参考例になっている。
UCCの説明などによると、同社にはソーシャルメディアのキャンペーン経験がなかった。企画を担当したのはマーケティング本部で、社外のアイデアを参考にしながら計画を立てたという。ネットに強い同社のEC(電子商取引)担当部門や、ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の経験を持つ人材もかかわっていなかった。
ツイッター上で同社のキャンペーンが批判されているとの報告は、実はグループ会社のユーシーシーフードサービスシステムズ(東京・港)でツイッターアカウント「上島珈琲店なう(@ueshimacoffee)」を運営する担当者からもたらされた。そして問題発生後、UCCはこのアカウントを使って深夜まで率直な言葉で謝罪と感謝を伝えた。上島珈琲店なうの存在がなければ、結果は大きく変わっていたはずだ。
上島珈琲店なうは以前からツイッター上で地道に活動しており、1000を超えるフォロワーを有していた。過去の「つぶやき」を見ると、ユーザーと真摯(しんし)に向き合っていたことが分かる。共感する一部のファンが同社に代わって弁明する場面もあった。時間をかけて信頼を積み重ねてこなければ、ユーザーの心をつかむのは難しかっただろう。ソーシャルメディアにおいて、普段からのコミュニケーションがいかに重要かを、上島珈琲店なうの事例は示している。
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