インターネットの根幹を揺るがしかねないと指摘されてきたセキュリティー上の欠陥を世界規模で修復しようとする取り組みが動き出す。ネット上の住所にあたる「ドメイン」とIPアドレスが抱える構造的な問題への対策で、日本で広く使われている「.jp」も早ければ年内に手当てが始まるという。ただ、完全対応には長い時間とコストがかかり、解決は容易ではないとの指摘もある。
7月8日、都内で開催されたインターネット技術者向けの会議。400人を超える聴衆を前に始まった最初のパネル討論のテーマは「動かしてみましたDNSSEC」。日本レジストリサービス(JPRS)の民田雅人主任研究員らが実証実験の結果を報告すると、会場からは質問が相次いだ。「インターネットの基盤技術にかかわるテーマ。皆、情報をほしがっている」と民田氏は話す。
7月15日に「ルートサーバー」で導入
DNSSEC(DNSセキュリティー・エクステンションズ)とは、今のインターネットに不可欠なDNS(ドメイン・ネーム・システム)と呼ぶ仕組みの弱点を補うために、世界規模で導入されようとしているセキュリティー仕様のことだ。7月15日にインターネットのドメイン階層の起点となるサーバー群「ルートサーバー」がDNSSECを導入する。「.com」や「.net」などの主要ドメインも2011年にかけて相次ぎ対応する予定だ。「日本」を意味する「.jp」ドメインを管理しているJPRSも「近く具体的なスケジュールを明らかにする」(広報担当者)という。
JPRSの米谷嘉朗主任研究員は、「DNSSECとは簡単に言えば、インターネットでサイトを閲覧する際に、正しく目指すサイトに接続していることを保証する技術」と説明する。これが保証されなければ、ユーザーは偽サイトに誘導されても気がつかず、フィッシング詐欺などの被害に遭いかねない。なにより、ドメインとサイトは一致するというインターネットの大前提が崩れることになる。
通常のフィッシング詐欺は、企業サイトなどに不正侵入してデータを書き換える手口が多く、個々のシステムのセキュリティーを強化すれば防ぐことができる。しかし、08年7月にセキュリティー研究者のダン・カミンスキー氏が行った発表によって、DNSそのものに通常のセキュリティー対策が及ばない根本的な問題があることが明らかになった。
DNSのすきを突く「毒入れ」攻撃
DNSは、インターネットで通信する際に機器1つひとつに割り振られたIPアドレスを人間が記憶しやすい名前に変換するための仕組みだ。例えば、自宅のパソコンのブラウザーで「http://www.nikkei.com」と入力してサイトを閲覧できるのは、アルファベットの意味の固まりとして表示されたドメインを、数字で構成された接続先の機器のIPアドレス(例http://123.XX.45.189)に変換しているからである。
日本発のスマートグリッドを海外に売る方法 (8/30)
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