「このバッターだけは気をつけないといけません。まともなストライクを投げたら絶対に打たれます」
中日・山本昌の球を捕らえたヤクルトの4番、ホワイトセルの打球が一塁線を抜けたのはマイクに向かってそう語った直後だった。
気迫がビンビン伝わってきた
バットの先であれ、根っこのどん詰まりであれ、絶対にヒットにするぞ……。21日、中日-ヤクルト戦(ナゴヤドーム)のラジオの放送席にいた私のところまで、ホワイトセルの気迫はビンビンと伝わってきた。「予測」はその直感を率直に言葉にしたものだった。
後追いの解説だけはしないぞ、というのが評論家としての私の流儀だ。予測は当たることもあれば、外れることだってある。しかし、それはあくまで結果であって「どうだ、当たっただろう」という気持ちもないし、外れたら外れたでそれまでのことだ。
その瞬間の空気を読み取って
それより私はまず、現場で今、どういうことが起こっていて、選手やコーチがどういう心理に支配されているか。その瞬間の空気を読み取って視聴者に伝えたいと思っている。
「バント失敗。これは痛いですね」という解説なら、だれでもできる。解説というのはそうではなくて、そのプレーがなぜ起きたか、ベンチがどういう思惑でその作戦を選択したか、といった部分を伝えなくてはいけないのではないだろうか。
それがたまたま次に起こることの予測という形をとったりするわけだが、私は予想屋ではない。現場のライブな雰囲気を伝えようとすると、自然にこれから起こること、つまり現在の一歩先を読む解説になってくるのだ。
王貞治氏は大リーグ殿堂入りできるか (2/6)
五輪チームが映すサッカー界の「世相」 (2/5)