対照的なのが、やはりバルセロナだろう。ここはもう、あらゆる意味で突き抜けた感じがする。
■バルサの選手たちが志向するもの
カネのためのサッカーでも、勝利やタイトルを求めてのサッカーでもない。サッカーという競技をこれまでとまったく違うものにして提示しようとしている。それ自体が選手の、クラブのモチベーションになっている感がある。
バルサの選手は負けると「きょうは相手がサッカーをしてこなかった」「ゲームを壊しにきた」とよくいう。自分たちは創造に従事し、相手は破壊に従事する。そんな意識が濃厚にある(彼らのその発言が的を射ている、彼らのサッカーが全てだ、とは決して思っているわけではないが……)。
「真のサッカー」「新しいサッカー」を提示しようとし、その証拠として優勝がついてくる。目指しているものはサッカーのクオリティーを上げることそのもの。勝利をチームにささげるために頑張っているのとはちょっと違うように感じる。
■質を問題にするチームには「終わり」がない
こういう意識で戦っていたチームが過去にあったのかどうかは知らないが、とにかく言えることは、こういう意識には簡単に限界が訪れないことである。バルサの選手たちが高年俸であることは承知しているが、とは言ってもタイトルやカネが目的ならいつか満たされる。飽きも満腹感もくるだろう。しかし、クオリティーを常に問題にするチームには「終わり」がない。
ゆえに、監督も選手も志を同じくする同志的結合がないと、しっくりいかない。イブラヒモビッチやエトーがどんなに優れていても長居できない理由の一つのように思える。
監督も同じ。現監督のグアルディオラはバルセロナのOBでクラブの哲学を知り抜いているから理想的なのだろうが、“よそ者”にはちょっと厳しいのかもしれない。
(前FC東京監督)
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