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 地震、津波、原発事故の複合災害となった東日本大震災。被災地で日々取材を続けている記者たちの思いをつづります。日本経済新聞 電子版の登録会員の方はログイン後、コメントを書き込むことができます。登録されていない方は、会員登録をお願いします。

いわきの海を語り合う(震災取材ブログ)
@福島・いわき

2012/1/6 12:00
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 福島県水産会館(いわき市)で開催された「サイエンスカフェ」を2011年12月に傍聴した。

専門家と市民が同じ目線で語り合う「サイエンスカフェ」(2011年12月17日)
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専門家と市民が同じ目線で語り合う「サイエンスカフェ」(2011年12月17日)

 科学について専門家と一般市民が気軽に語り合う。そんな趣旨にのっとった和やかな雰囲気ながら、会場の一室には静かな緊張感も張り詰めていた。「いわきの海と魚」というテーマがずしりと重たい。原子力発電所の事故以来、漁業は再開できないままだ。

 福島近海では事故から9カ月を過ぎても相変わらず高濃度の放射能が検出され続けている。県水産試験場の研究者の報告に、30人ほどの参加者がじっと聴き入る。「サンプル数が少ないのでは」「魚のどの部位をどのように計測するのか」などと調査の方法に関する突っ込んだ質問も相次ぐ。

 のっぴきならない状況にある漁業者の思いも、せきを切ったようにあふれ出た。「風評被害というのはまだ先のこと。目の前にあるのは検査のデータ。これでは仲買人も手が出ない」。悲嘆の一方で気高い誇りのにじむ声も聞かれた。「3・11の前の数値に戻るまでは(漁を)やるべきでないとオレは思う。それが日本の水産業を守ることにもなる」

参加者からは様々な疑問、意見が飛び出した

参加者からは様々な疑問、意見が飛び出した

 望みはつないでいる。底引き網漁師という男性は、将来の操業再開を意識しているであろう問いを投げかけた。「(現行の)10分、30分といった時間がかかる検査ではせっかくとってきた魚の鮮度が下がる。もっと素早く調べられないのか」。ため息交じりに応じたのは、県水産試験場水産資源部長の水野拓治さん。「私たちもそういう機械が欲しい」

 どんな話題も一方通行に終わることはない。立場の違いを超え、ひざ詰めで意見が交わされる。講師役の水野さんにしても「話すというより聴きに来ている」との姿勢。「調査がどう受けとめられているか分かる貴重な機会。こういう場を大切にしたい」と語る。

 午後1時半に始まった会は3時間近く続いた。外に出ると夕暮れが迫っていた。(舘野真治)

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