地震、津波、原発事故の複合災害となった東日本大震災。被災地で日々取材を続けている記者たちの思いをつづります。日本経済新聞 電子版の登録会員の方はログイン後、コメントを書き込むことができます。登録されていない方は、会員登録をお願いします。
大正から昭和にかけて全国各地の民家を訪ね歩き、東北の農山漁村では冷害や雪害に強い蔵や家屋を研究・設計。関東大震災の発生時には被災地をめぐって復興状況を調べ、バラックを装飾した――。今和次郎(こん・わじろう、1888~1973年)は民俗学者、建築家など多彩な顔を持っていた。
故郷の青森県立美術館で初の本格的な回顧展が開かれており、11月末に足を運んだ(展示は12月11日まで。1月から東京・汐留のパナソニック電工汐留ミュージアムに巡回)。
「東北」や「災害」と浅からぬ因縁を持つ彼の滋味豊かな仕事は、東日本大震災を経て、改めて胸を打つものがある。考古学ならぬ「考現学」を提唱し、移ろい変わる同時代の風俗をこと細かに記録したことの意義も、染み入るように得心された。
「一瞬にして街が壊滅する。昨日まで当たり前にあったものが突然なくなる。そんな体験が和次郎の根底にあり、現代にリアルに響く」と同館学芸主査の板倉容子さんは話す。
展覧会場を歩くと、和次郎の時代にあふれるバイタリティーに気づく。無数の家々が倒壊・焼失した混乱の極みにあって、被災者たちは塔婆や土管まで使い、様々にバラックを築く。美術家たちはそれらをスケッチするばかりか、壁面などにペンキで絵を描いてまわる。そこにはえたいの知れない熱量が漂う。
翻って、いまの仮設住宅の冷たく無機質なイメージが頭に浮かぶ。和次郎ありせば何を感じ、何をしただろうか。いっとき不思議な物思いに誘われた。(舘野真治)
震災の関連では特に困った方に対するきめ細やかなフォローが大切と思います。
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