2012年元日から本紙朝刊やWeb刊で連載してきた「C世代駆ける」。取材班の記者たちは20年後の日本の姿を探ろうと、そして、そのときの主役であるC世代の可能性をみつけだそうと、様々な人と会い、様々な体験を重ねてきた。記事には盛り込みきれなかったエピソードの数々。記者たちの思いをお届けしたい。書き込みはこちら
急激に普及するスマートフォン。ソフトの「アプリ」開発を中心に、日本の若い世代にも起業ブームが起きているらしい。「アプリ・ゴールドラッシュ」なんて呼ぶ人もいる。そんな話を耳にした。スマホを持ってはいるが、使いこなしているかは怪しい。そんな「非C世代」を絵に描いたような記者だが、何が起こっているのかは確かめたい。とりあえず、起業の現場に飛び込んでみた。
まず話を聞いたのは、昨年8月に弱冠22歳で米シリコンバレーで会社を立ち上げた、ワンダーシェーク(wondershake)の最高経営責任者(CEO)、鈴木仁士さん。昨年春に大学を卒業したばかり。位置情報を利用して近くにいる同じ趣味を持つ人をみつけ、出会いを提供するアプリのサービスを運営する。
――サービスの一番すごいところは?
「フェイスブックは過去の友人関係のメンテナンス(維持)に使うことが多い。ワンダーシェークは新しい出会いのきっかけを提供できる。同じ趣味を持ち、近くにいるのに、知り合わなかったかもしれない人どうしをリアルにつなげる。もっと毎日を楽しくできる」
――そもそもなぜ起業を?
「大学に入ったころは投資銀行に入る夢を描いたけど、リーマン・ショックで無力感に襲われた。大きな企業に入っても何の保証もないんだと。ぼんやりと起業という選択肢を意識した」
「海外放浪中、豊かではないのに自分の国が大好きだと目を輝かせるアジアの少女に心を打たれた。人と人のつながり、コミュニティー。豊かな東京などの大都市から消えつつあるものが確かにあった」
「米国留学中にはツイッターなどの爆発的な普及に衝撃を受けた。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)には人をつなぐ力がある。ネットとリアル。だんだんとアイデアが固まっていった」
鈴木さんは技術者らの仲間を探してチームをつくり、起業にこぎつける。勝負の舞台はいきなり世界だ。「日本人はもっとできる。海外でのスタートアップの成功例をつくりたい」
ギフティ(giftee)代表の太田睦さんにも話を聞くことができた。27歳。ツイッターなどを使って友人にささやかなプレゼントを贈る――。昨年から、そんなネットのサービスを展開している。スマホでのアプリ版のサービスも近く始める。
ミソはプレゼントを贈られる側が、お店まで出向いて受け取ること。ネット上の交流にぬくもりが生まれるうえに、普及すれば、消費を刺激する効果も期待できる。「贈った側も受け取る側も、そして店も、みんな幸せになる。そんな習慣を根づかせたい」と太田さんは意気込む。
2人とも大豪邸に住むとか、そんなことは追い求めていない。社会を良くする。世の中を変える。その結果、成功がついてくる。「アプリの金脈を掘り当てて、ひともうけ」という考えとは違うのだ。一昔前のベンチャー起業家といえば、自分の富を追い求める「強欲」の象徴のように扱われた時期もある。いまは全く違う起業家像が生まれているようだ。
フェイスブック、SNS、ネットプライスドットコム、スマートフォン、アプリ、ツイッター、ホンダ、デジタルガレージ、コロプラ、ソニー、グリー
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