16日に最高裁大法廷で言い渡された、裁判員制度が憲法に反するかどうかが争われた事件の上告審判決要旨は次の通り。
■国民の司法参加
憲法に国民の司法参加を認める規定がないことは、被告側の指摘通りだ。しかし、明文規定がないことが、直ちに国民の司法参加の禁止を意味するものではない。刑事裁判に国民の司法参加が許されているか否かという問題は、憲法が採用する統治の基本原理や刑事裁判の諸原則、憲法制定の経緯などを総合的に検討して判断されるべきだ。
刑事裁判は人の生命すら奪うことのある強大な国権の行使だ。憲法では適正な刑事裁判を実現するための諸原則を定めており、そのほとんどは、各国の刑事裁判の歴史を通じて確立されてきた普遍的な原理だ。
刑事裁判では、これらの諸原則が厳格に守られなければならず、それには高度の法的専門性が要求される。憲法が三権分立の下に、裁判官の職権行使の独立と身分保障を規定していることから、憲法は刑事裁判の基本的な担い手に裁判官を想定していると考えられる。
刑事裁判に国民が参加して民主的基盤の強化を図ることと、憲法の定める人権の保障を全うしつつ、適正な刑事裁判を実現することとは相いれないものではない。
国民の司法参加と適正な刑事裁判実現のための諸原則とは、十分調和させることが可能だ。
憲法上国民の司法参加が禁じられていると解すべき理由はなく、国民の司法参加に関係する制度の合憲性は、具体的に設けられた制度が、適正な刑事裁判を実現するための諸原則に抵触するかどうかで決まるものだ。
■制度の憲法適合性
憲法は、下級裁判所について国民の司法参加を禁じているとはいえず、裁判官と国民とで構成する裁判体が、被告側主張のように憲法上の「裁判所」に当たらない、ということはできない。
裁判員法では、裁判体は裁判官と裁判員で構成される。裁判員はくじなど公平性、中立性を確保できるよう配慮された手続きで選任され、評議での自由な意見表明を保障するための守秘義務を負う。法令解釈の判断などは裁判官に委ねられ、裁判員の権限は、審理に臨み、評議で事実認定、法令の適用及び有罪の場合の刑の量刑について意見を述べ、評決を行うことだ。
裁判員の関与する判断は、必ずしも法律的な知識、経験を持つことが不可欠とはいえない。裁判員がさまざまな視点や感覚を反映させつつ、裁判官との協議を通じて良識ある結論に達することは十分期待できる。
公平な「裁判所」での適正な裁判が十分保障され、憲法が定める刑事裁判の諸原則を確保する上での支障はない。従って、裁判員制度は、憲法の各規定に違反しない。
裁判員制度
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