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2万円以下でも必要十分の高性能、ASUS MeMO Pad HD7
フリーライター 竹内 亮介

2013/7/28 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 エイスース・ジャパンは7月19日、7型液晶を搭載する小型タブレット「ASUS MeMO Pad HD7」(以下HD7)を発売した。高性能なクアッドコアCPUや最新OSの「アンドロイド4.2.1」を採用しながらも、実勢価格を2万円以下の1万9800円と抑えたのが特徴となる。価格競争力は非常に高いが、実際の使用感や性能はどうか、気になる部分を検証してみた。

■サイズと重さは旧ネクサス7と同等、使いやすさと汎用性は

2万円以下の7型タブレット「ASUS MeMO Pad HD7」

2万円以下の7型タブレット「ASUS MeMO Pad HD7」

 HD7は7型液晶を搭載するコンパクトなタブレットだ。幅は196.8ミリ、奥行き120.6ミリ、厚みは10.8ミリメートルと7型液晶搭載モデルとしては一般的なサイズ。男性なら、グッと開いた片手だけでホールドできるだろう。重さは302グラム。7型サイズだと350~400グラムの製品が多い中、軽量と言える。

 なお7型液晶を搭載する米グーグルの旧「ネクサス7」(2012年7月発売、製造は台湾エイスース)は、幅198.5ミリ、奥行き120ミリ、厚みは10.45ミリ。重さはWiFiモデルで340グラム。今回試用したHD7とほぼ同じ寸法と重さで、実勢価格も1万9800円(フラッシュメモリーが16ギガバイトのWiFiモデル)と低価格なところも似ている。

4色のカラーバリエーションがあるのはめずらしい

4色のカラーバリエーションがあるのはめずらしい

 CPUは、主演算基を4個内蔵する台湾メディアテックの「MTK8125」で、動作周波数は1.2ギガヘルツ。内蔵メモリーは1ギガバイトでフラッシュメモリは16ギガバイト。タブレットとしてはめずらしく、ブルー、ホワイト、グリーン、ピンクというカラーバリエーションをそろえている。

 今回はグリーンを試用したが、蛍光グリーンに近いかなり明るめな色調だった。アルミか、プラスチックだったとしても落ち着いた色味の筐体(きょうたい)を採用することが多いタブレットのなかでは、異色の存在と言える。ツルッとした質感で「いかにも」といった風情のプラスチックなので、まかり間違っても高級感はない。しかしポップな色調が映える。意外と面白い組み合わせなのではないかと思った。

背面はつるりとしたプラスチック製で、カラーはグリーン。明るめの色調でなかなかキレイだ

背面はつるりとしたプラスチック製で、カラーはグリーン。明るめの色調でなかなかキレイだ

 右側面には電源ボタンとボリュームボタンを装備する。この配置はネクサス7と共通で、ネクサス7に慣れている筆者にとってわかりやすいものだった。

 低価格タブレットのはしりであるネクサス7とのハードウエア的な違いは、マイクロSDメモリーカードスロットを備えていることと、背面に500万画素のメインカメラを備えていること。メモリーカードを挿すことで自由に使えるストレージ容量を増やせるほか、カメラが背面にあることで撮影がしやすい。ネクサス7は基本的にはビデオ通話に使う前面カメラしか搭載しない。

左が旧ネクサス7、右がHD7。大きさはほとんど変わらない

左が旧ネクサス7、右がHD7。大きさはほとんど変わらない

上面にヘッドホン端子と、充電とPCとの接続に利用するマイクロUSB端子を装備

上面にヘッドホン端子と、充電とPCとの接続に利用するマイクロUSB端子を装備

左側面の上側に、マイクロSDカードスロットを備える

左側面の上側に、マイクロSDカードスロットを備える

 

 ストレージ容量が増えれば、より多くの電子書籍やデジカメ画像、動画ファイルをタブレットに保存して持ち歩くことが可能。また背面カメラの搭載で画像メモを残しやすくなり、SNSなどへの投稿もスムーズに行える。ネクサス7よりも広い範囲で活躍できるということだ。

液晶ディスプレーには視野角が広く、表示品質が高いIPSパネルを採用

液晶ディスプレーには視野角が広く、表示品質が高いIPSパネルを採用

 7型の液晶画面は視野角が広いIPSパネルだ。画面をさまざまな方向に傾けても画面が暗くなったり白く飛んだりすることはなく、デジカメ画像などを美しく表示できた。解像度は1280×800ドットと、これも7型モデルとしては一般的な仕様。ネクサス7も同じだ。電子書籍を表示してみるとキレの良い美しいフォントで楽しめた。表示性能はおおむねネクサス7と同等のレベルにあり、不満を感じることはない。

■性能面ではネクサス7をわずかながら上回る

 携帯性や表示品質はネクサス7とほぼ同等。となると低価格モデルだけに性能が気になる。MTK8125を供給する台湾メディアテックは、途上国向けで1万円を切るような激安タブレット向けにCPUを提供することが多いメーカーの一つだ。今までそうした製品をいくつかテストしたことがあるが、正直評価するレベルに達していない製品ばかりだった。

タッチ操作の追従性は十分高く、不満は感じない

タッチ操作の追従性は十分高く、不満は感じない

 しかしHD7では、そういった不満はまったく感じない。タッチに対する追従性は高いし、画面の表示や切り替えも非常になめらか。スムーズに操作が行えるのが快適だった。各アプリの切り替えは一瞬で行われ遅延は感じないし、電子書籍のページめくりアニメーションも快適に表示される。

 OSが最新に近いアンドロイド4.2.1で、画面の表示をなめらかにする機能が組み込まれているということはある。しかしCPUの性能やグラフィックス性能が、その描画機能をサポートできるほど高性能でなければ意味がない。こうした使用感を考えると、HD7が搭載するCPUは、その水準をきちんとクリアしているということが言える。

Antutu 安兎兎ベンチマーク
ASUS
MeMO Pad HD7
ネクサス7
CPU59075829
GPU35123562
RAM23071853
I/O893833
3DMark
Ice Storm31173411

CPUの基本的な処理性能やグラフィックス性能は、ネクサス7とほとんど変わらない

 さらにベンチマークテストで実際の性能を確認したのが下の表だ。「AnTuTu 安兎兎ベンチマーク」は、CPUやメモリ、グラフィックス性能などを総合的に判断できるアプリ。「3DMark」は、3D描画性能に絞って性能を測れるアプリだ。いずれも数値が高い方が性能が高い。

 比較対象としたネクサス7は2012年の発売時は最新だったNVIDIAのクアッドコアCPU「テグラ3」を搭載しているが、HD7はこのネクサス7とほとんど同じ性能をたたき出している。クアッドコアで2万円以下、ということで非常によく売れたネクサス7と同等ということで、使用感やパフォーマンスの状況は想像しやすいだろう。

■HD7や新ネクサス7の登場で低価格タブレット戦線はさらに拡大

 心配だった性能面では不安はなく、画面もIPSパネル搭載モデルらしく見やすくキレイで美しい。プラスチックを多用した筐体は高級感はないにせよ、カラーバリエーションが豊富で楽しく、気軽に持ち歩ける。低価格なので「多少傷が付いても気にしない」という考え方もできるだろう。

 きちんと押さえるべきところは押さえてキレイにまとめた低価格タブレットと言える。ウェブブラウズやメールの送受信、動画の再生などタブレットの主な用途においてHD7で不満を覚えることはないはずだ。

 性能と価格のバランスのよさで他社のアンドロイドタブレットの追随を許さずに売れ続けてきたネクサス7だが、ようやく対抗馬と言っていい存在が登場したと言える。

 だが、グーグルは米国時間の24日、ネクサス7の新機種を発表。液晶ディスプレイのサイズは同じだが解像度をフルHDに高め、CPU性能は約1.8倍、グラフィックス性能は4倍になるという見込みだ。実勢価格も旧ネクサス7よりちょっと高い程度で、徐々に追いつきつつあった競合タブレットを再び突き放しにかかっている。

 価格が同じなら性能では当然新ネクサス7が有利。しかしメモリーカードスロットによる容量拡張を重視するなら、HD7を筆頭とする低価格タブレットに軍配が上がる。用途や目的で選びたい。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。


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