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親の介護、何歳からいくらかかるか 介護のお金の仕組み(1)

2012/1/4 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 老後のお金といえば、将来の自分の年金や医療費が気になるところですが、親の介護にどれだけのお金が必要かについても、大まかに知っておきたいものです。この連載では、前編と後編の2回に分けて、「介護のお金」について解説します。前編の今回は、介護にかかる費用の算出方法などを取り上げます。

 老後にかかるお金で、最も想像しにくいのが介護費用だ。自分も健康で、親も退職したばかりという家族の場合、介護にかかる費用が一体いくらかかるのか検討もつかないだろう。だが、親が倒れてしまってから慌てるのでは遅い。ここでは、何歳からどんなことにお金がかかるのかをざっくり知っておこう。

 厚生労働省の調査によると、要介護認定を受け始める平均年齢が75歳、認知症高齢者グループホームを利用している人の半数以上が85歳という。つまり、一般的に75歳までは介護を必要とせずこれまで通りの生活ができ、80代になると介護を必要とする度合いが進み、80代後半になると特定の介護付き施設に入居する可能性が高くなる。

 さてそのときにかかるお金だが、まずは介護保険のしくみを知ろう。介護保険の費用は、半分が税金、半分が40歳以上の人が亡くなるまでに支払う保険料でまかなわれている。保険料は40~64歳の人は公的医療保険と合わせて徴収される。加入している健康保険によって保険料は違うが、毎月約1500~2000円を支払う。65歳以上の人は、納めている住民税などによって違うが、全国平均は月額約4000円だ。

介護が必要になる年齢と利用する介護サービスの例と料金の目安

介護が必要になる年齢と利用する介護サービスの例と料金の目安

 次に介護保険サービスを利用したときにかかるお金を見ていこう。まず、介護者なしでは生活に支障がきたすようになったら「介護保険申請」を居住地の役所に提出し、要介護認定を受ける必要がある。そこで要支援1~2、要介護1~5までの7段階に振り分けられる。例えば要介護3は「食事や排せつ、入浴などに多くの介助が必要で、立ち上がりが1人でできない」というように、介護状態の目安がある。

■介護サービス費の1割を負担

 介護認定を受けると、介護保険サービスを1割の自己負担で利用できる。例えば訪問介護の身体介護(1時間未満)を利用する場合、基本部分の料金は4020円だが、自己負担は1割の402円になる。ただし介護度によって介護保険の月額利用限度が決められているので、無制限に1割で利用できるわけではない。利用者負担限度額は、要支援1で4970円、要介護1で1万6580円、要介護3で2万6750円、要介護5で3万5830円だ。

 この上限額を超えた分は介護サービス費用全額を自己負担する必要がある。また、介護サービスとは別に、家事代行費なども必要になることもある。さらに高齢者向けの住宅に引っ越した場合はその居住費、1日だけ施設に訪問して介護を受ける「デイサービス」などを利用する場合は昼食費も自己負担になる。

この人たちに聞きました
[左]ファイナンシャルプランナー(FP)の山田静江さん  独立系FP会社WINKS代表取締役。NPO法人ら・し・さ副理事長。年金や介護保険などをテーマに企業研修や執筆活動で活躍。
[右]ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん  年金、教育費、節約、介護といった分野での講演や執筆活動が人気。特に介護分野では自ら高齢者向け住宅見学を頻繁に行うなど詳しい。

この人たちに聞きました
[左]ファイナンシャルプランナー(FP)の山田静江さん  独立系FP会社WINKS代表取締役。NPO法人ら・し・さ副理事長。年金や介護保険などをテーマに企業研修や執筆活動で活躍。
[右]ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん  年金、教育費、節約、介護といった分野での講演や執筆活動が人気。特に介護分野では自ら高齢者向け住宅見学を頻繁に行うなど詳しい。

 それでは介護費としてかかる合計額はおよそいくらか、ファイナンシャルプランナーの山田静江さんに試算してもらった。介護度4で都内の高齢者向け住宅に居住した場合は、一時金として300万円、毎月20万円弱かかるということだ。

 ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、「介護費は青天井になりがちなので、親の年金など収入額をまずは把握してから利用できる介護サービスを考えよう。10年など介護が長引くことも考えると、子供の資産から無計画に持ち出すのはやめた方がいい」とアドバイスする。

介護保険サービスを利用した場合の費用の試算。出所:厚生労働省介護給付費実態調査月報(2011年5月審査分)

介護保険サービスを利用した場合の費用の試算。出所:厚生労働省介護給付費実態調査月報(2011年5月審査分)

(日経マネー 羽生祥子)

[日経マネー2011年10月号の記事を基に再構成]


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