日本経済新聞社

記事利用について
印刷 印刷

「クラウド時代に合ったハードを」、サーバー新仕様策定進む

2013/5/28付
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 サーバーなどハードウエアの設計図や仕様のオープンソース化を推進する団体、米オープン・コンピュート・プロジェクト(OCP)が2013年5月27日、東京都内で開発者向けのイベント「Open Compute Project Engineering Workshop」を開催した(写真1)。OCPを主導する米フェイスブックのエンジニアなどが来日し、サーバーラックの新仕様などを説明した。

写真1 東京都内で開催された「Open Compute Project Engineering Workshop」

写真1 東京都内で開催された「Open Compute Project Engineering Workshop」

写真2 Open Compute Project FoundationのCOO(最高執行責任者)であるコール・クロウフォード氏

写真2 Open Compute Project FoundationのCOO(最高執行責任者)であるコール・クロウフォード氏

写真3 サーバー内にバックアップバッテリーを搭載可能な「Open Rack V2」

写真3 サーバー内にバックアップバッテリーを搭載可能な「Open Rack V2」

 OCPは、フェイスブックが2011年4月に開始したプロジェクトで、2011年10月には運営団体として「OCPファウンデーション」が設立されている。当初はフェイスブックが自社設計したサーバーやラック、電源装置や冷却設備などの設計図をオープンソースとして公開していた。現在はそれらに加えて、ストレージやネットワークスイッチの設計図のオープンソース化も進めている。

 今回のイベントはOCPに加えて、日本でOCPに賛同する団体であるオープンコンピュートプロジェクトジャパン(OCPJ)や、5月23日に台湾で設立されたオープン・コンピュート・プロジェクト・タイワン(OCPT)などが参加。OCPファウンデーションのCOO(最高執行責任者)であるコール・クロウフォード氏は基調講演で、「大規模データセンター時代にふさわしいハードウエアの仕様を、業界の英知を結集して考え直すことがCOPの目的だ」と強調した(写真2)。

■「50年以上前の仕様では対応できない」

 クロウフォード氏は、近年のデータセンターが求める要件にハードウエアの仕様が追いついていない例として、IT業界で標準的な「19インチラック」の例を挙げた。

 「19インチラックは、50年以上前に通信業界のために作られた仕様で、音楽業界やIT業界は既にあったものを採用しただけだった。そのため、サーバーなどの消費電力が増大した今日では、ラックの仕様が合わなくなっている」(クロウフォード氏)。そこでOCPでは、新しいサーバーラックの仕様である「Open Rack」を作成。サーバーやストレージの電源装置をラック単位で集約し、各ハードには12Vの直流で電力を供給する仕組みを作るなどして、従来よりも多くのサーバーやストレージを格納できるようにした。

 またOCPは現在、ラックの仕様の第二世代に当たる「Open Rack V2」を策定中だ。Open Rack V2は、ラックにバックアップ用のバッテリーを内蔵できる(写真3)。従来のOpen Rack仕様では、UPS(無停電電源装置)に相当する「バッテリーラック」が6ラックにつき1個ずつ必要だったが、Open Rack V2ではラック内にバッテリーを内蔵することで、バッテリーラックが不要になった。

 OCPが公開した仕様に基づくハードウエアは、フェイスブック以外では米国の大手IaaS(インフラストラクチャ・アズア・サービス)事業者である米ラックススペース・ホスティングや、ゲーム会社である米ライオット・ゲームスが採用しているほか、20社近くがOCP仕様を利用したり検証したりしているという。

 OCPは、OCP仕様のハードウエアの普及を進めるために、OCPの認定仕様である「OCP Certified」や「OCP Ready」といった仕組みの整備を進めている。日本のOCPJやOCPTは、これらOCP仕様の国内での普及や、各国のニーズをOCPへと伝える活動などを行うことが、同イベントで発表されている。

 Open Compute Project Engineering Workshopは5月28日にもセッションが行われ、米インテルが提唱するラック内インターコネクト技術に関する説明などが行われる予定である。

(日経コンピュータ 中田敦)

[ITpro 2013年5月28日掲載]


本サービスに関する知的財産権その他一切の権利は、日本経済新聞社またはその情報提供者に帰属します。また、本サービスに掲載の記事・写真等の無断複製・転載を禁じます。