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「和の空間」に新たな感性 複雑形状のデザイン畳

2015/7/3 6:10
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 畳といったら長方形――。そんな常識を打ち破る斬新な商品が登場した。コンピューターのアルゴリズム(計算方式)を使ってデザインされた複雑な形。ぱたぱたと床に敷き詰める様子はまるでジグソーパズルだ。パーツごとに畳の目の向きが違うため、光の当たり方によって色や光沢も複雑に変化する。そのデザイン性からフローリングなどの洋室にもマッチすると、国内だけでなく海外の建築雑誌に取り上げられるなど注目が集まっている。

 デザイン畳は宮城県石巻市の畳メーカー草新舎と、東京・目黒の建築事務所ノイズアーキテクツが手を組んで実現した。鋭角や鈍角がある複雑な形状の畳を、伝統的な製法を用いながら寸分の狂いもなく作り上げるには高度な職人技が必要だ。草新舎は部屋によって寸法が異なる寺社の畳を数多く手掛け、変形畳の製法で特許を持つ。そのノウハウと建築事務所のデザイン力が融合した。

 畳床は宮城県産の稲わら、畳表には大分県の国東半島で生産される「七島イ(しっとうい)」というイグサに似た植物を使用する。「本物の畳の魅力を伝えるため、形だけでなく最高級の天然素材にこだわった」と草新舎の高橋寿社長。ノイズアーキテクツは顧客が部屋に合わせて畳のデザインを自由に選べるネット用の注文アプリを開発し、新たなデザイン畳の魅力を世界に向けて発信する。

 日本の住宅からは和室が急速に減っている。伝統技術の継承とともにイグサ産地の復活も視野に入れた両社の取り組みは、「和の空間」を演出してきた畳文化の救世主となるか。今後に注目だ。

(写真部 湯沢華織)


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