(2012年1月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は2009年、「異例の時は異例な手段が必要」と言い切った。それから3年たち、議長の意味するところが明確になった。
米国内総生産(GDP)は景気後退前の傾向が続いたと仮定した場合と比較すると、極めて低い。この異例の景気停滞に対処するため、バーナンキ氏はまず実質的なゼロ金利政策をとり、2度にわたりFRBによる大規模な資産購入を行った。今週は将来の政策金利の詳細な見通しも公表する。
この決定は、政治的にも経済的にも理にかなっている。膨らむ一方のFRBのバランスシートの規模を巡る議論は険悪さを増しており、バーナンキ氏が金融の量的緩和に代わる措置を検討するのは理解できる。将来の政策金利の推移の見通しを示すことで、企業と家計に借り入れを促し、短期金利がゼロでも需要を喚起できる。
この戦略が功を奏するには、2つの条件がある。第1に国民がFRBの意図する政策の道筋を理解できること。第2にFRBが政策の実現に対する国民の期待を確保できることだ。インフレ気配が強まれば低い金利が逆転すると考えれば、国民はFRBが望むような期待はしない。結果的に、需要押し上げ効果は大変小さくなる恐れがある。
透明性を重視する立場から、FRBにできることはもっとあろう。新たなルールでは、米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの予想ではなく、FRBの将来政策はこうあるべきだという見解が公表される。金利の見通しに関する理事会の投票結果が公表されればなおさら良いだろう。
よりやっかいなのは、FRBは景気回復が確実になる前に引き締めをするのではという懸念を国民が持ち続けることだ。今週発表された2%という明確なインフレ目標は、FRBが将来必要とするかもしれない柔軟性を奪う危険をはらむ。
明確なインフレ目標が、米景気の抱える現在の問題に有効だという保証もない。インフレ目標が2000年代前半に多くの国で物価安定の一端を担ったのは間違いないが、その後は行き過ぎた金利引き下げとバブル景気を招いた。FRBの経済拡大と雇用促進の実績も玉石混交だ。バーナンキ議長が異例の手段を取ることは必要かつ正しいが、問題はそれで十分かということだ。
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