京成電鉄が成田空港と東京都心を最短36分で結ぶ「成田スカイアクセス」の開業を機に、新しい成長戦略を打ち出した。アジアなど海外からの観光客の輸送需要を取り込み、鉄道事業で成長をけん引。2021年度に10%以上の売上高営業利益率(10年3月期は9.2%)を目指す。大手私鉄トップの利益率目標を掲げた花田力社長に聞いた。
――新線の競争力は。

1966年入社。鉄道本部副本部長、常務、専務などを経て2004年に社長就任。66歳。
「都心と成田空港を最も速く、安く輸送でき、定時性が高い点だ。特急料金を含め2400円の運賃は他の交通機関と比べ最も安い。先頭車両に揺れを抑える新幹線並みのサスペンションを導入、時速160キロメートルの最高速度でも満足いただける乗り心地と思う」
――JRや高速バスは東京駅や横浜駅に直行する。
「東京駅とのアクセスは新線の都心側の玄関口である日暮里駅で専用ホームを造るなど改装し、JR山手線などへの乗り換えをしやすくした」
――首都圏の私鉄の売上高営業利益率は前期で4~7%台。10%以上の目標は飛びぬけて高い。
「成田空港の発着回数は今の22万回から将来的に30万回に増える見通しだ。成田空港を経由する輸送客全体のパイが膨らむことを考えると、高過ぎるハードルと思わない。国内から海外に出かける人のほか、中国など海外から日本を訪れる外国人観光客も増えるだろう。国内外の旅行会社を通じてPRすれば、さらに乗客を増やせる」
「新線効果などで部門別では運輸業全体の売上高を12年度には1349億円(10年3月期は1283億円)まで引き上げる。京成の沿線は首都圏西部に比べれば人口の増加が緩やか。このため人員配置を見直すなど鉄道輸送事業の効率性を高めてきた。前期で9%台の売上高営業利益率はその成果だ。新線も車両をリース方式にするなど初期投資を抑えた」
――少子高齢化などで長期的にみれば、鉄道事業は頭打ちでは。
「運輸事業を中心に成長し、グループ事業との相乗効果を目指す経営方針は貫きたい。グループで沿線へ大型マンションと賃貸住宅の建設をする。新線の収入のほか、安定した鉄道収入を確保するため定住人口を増やす方針だ」
「東京・押上の現本社の活用も課題だ。近くには12年に新電波塔、東京スカイツリーができ、多くの観光客が訪れる。当社は本社を13年に千葉県内に移転する計画だ。現本社の跡地活用は未定だが、周辺の出店状況などをみながら、商業施設やホテル、飲食店、住宅など幅広く検討する」
<聞き手から一言>鉄道事業強化、追加策も必要
京成電鉄が鉄道事業を強化する成長戦略を打ち出した。鉄道業界では高齢化による通勤客の減少や少子化などの影響で鉄道事業の高い成長は期待しにくいというのが定説。私鉄各社が不動産事業などで収益拡大を目指す中、京成の鉄道強化路線は異彩を放つ。
戦略の柱は成田の利用客獲得だが、羽田との競合や航空旅客需要そのものが低迷するリスクもある。株式市場での評価も必ずしも高くはない。新線を需要の高い東京駅に接続するなど、一段の強化策が必要だ。(林英樹)
花田力、成田空港、京成電鉄
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