民主党政権の数少ない成果とも言える事業仕分け。今のところ歳出削減の効果は限定的だが、外部の人間が省庁などに「ダメ出し」する姿には一種の新鮮さがある。だが、事業仕分けの「元祖」は国ではない。一部の自治体では国より7年も早く始めたところもあり、内容も一歩先行している。
「事業の効果と目的が不明確だ」「お役所仕事というものが本当にあるんですね」。琵琶湖の南岸、滋賀県草津市で8月21~22日に行われた事業仕分け。市民から無作為に選ばれた「判定人」が市の担当者に厳しい声を浴びせた。
02年にスタート、60自治体に波及
有識者らが務める仕分け人と市職員が各事業について議論。約30人の市民判定人が「不要」から「現行通りまたは拡充」の6段階で判定する。対象となった32事業のうち、市民は脳ドック受診への助成や人権学習ツアーなど12事業に「不要」の判定を下した。同市は2011年度予算案に結果を反映させる。
自治体の事業仕分けが始まったのは02年。民間シンクタンクの構想日本(加藤秀樹代表)によると、同団体の支援を受けて事業仕分けを行った自治体は約60に上る。
「最新モデル」の市民判定人方式は09年にスタート、草津市のほか、埼玉県富士見市、愛知県高浜市、奈良市、静岡県沼津市が実施しているという。唯一、2度行った草津市は「納税者と行政サービスの受益者という、行政に近い立場から判断してもらえる」(企画調整課)と評価する。
「政権」と市民の距離を近づける力もあるようだ。草津市の事業仕分けに参加した無職の男性(77)は「事前に約5時間かけて資料を3回読み込んだ」。女性会社員(32)は「税金の使い道に全然興味がなかったけど、これからはきちんとチェックしていきたい」と話す。
民主党より一歩進む「市民の声を直接反映」
市民の声を直接、行政に反映させるという点では、国会議員が中心となって判定する民主党政権より一歩進んでいる。
なぜ、国よりも先に市民判定人方式を取り入れたのだろう。財政が特に厳しいからというわけではない。草津市はアクセスの良さから近年、大学や企業が相次いで進出。人口はここ20年で31%増えた。09年度末の市債残高も5年前から12%減った。他の4市も財政には比較的余裕がある。
ヒトも企業も引き寄せる魅力があるから新しいことに挑戦できるのかもしれない。だが、新しいことに取り組む「政権」だからこそ、活力が生まれやすいという側面もあるのではないだろうか。
(「政権」取材班 谷口誠)
加藤秀樹、事業仕分け
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