枝野幸男経済産業相は13日午後、経産省内で東京電力の西沢俊夫社長と会い、東電への公的資金による資本注入の条件として「十分な議決権」を国に譲り渡すよう求めた。具体的な比率には言及しなかったが、定款変更など経営の重要事項を決定できる3分の2以上を視野に、少なくとも過半の議決権を取得し、経営権を掌握することを想定している。経産相はそのうえで、東電と原子力損害賠償支援機構が申請していた賠償資金の追加援助を認定した。
| ○ | 公的資金による資本注入の前提として、注入額に見合う十分な議決権を要求 |
|---|---|
| ○ | 経営責任の明確化 |
| ○ | 電気料金原価の見直し結果を企業向け料金にさかのぼって適用 |
| ○ | 原子力被害賠償の加速 |
| ○ | 思い切った事業再編、不動産売却・経営合理化の加速 |
東電と機構は3月末までに、福島第1原子力発電所の事故賠償への政府支援を続ける前提となる総合特別事業計画をまとめる。機構が1兆円の公的資金で東電に資本注入し、廃炉費用などで悪化する東電の財務基盤を強化することが柱。計画は経産相の認定が必要となる。
経産相は会談で「資本注入額に照らし、十分な議決権を伴わない形で資本注入を求める総合計画が提出されても、認定するつもりは全くない」と強調した。西沢社長は「大臣の考えを踏まえ、機構とよく調整したい」と応じるにとどめた。
経産相はこのほか、総合計画の策定に当たり、経営合理化策の上積みや不動産売却の加速を指示。家庭向け電気料金の算定根拠である原価を洗い直し、その結果を4月から予定する平均17%の企業向け料金引き上げにさかのぼって反映するよう求めた。経営責任にけじめをつけ、思い切った事業再編で高コスト経営を改めるよう要求した。
経産相はこうした基本姿勢を示したうえで、東電と機構が申請していた6900億円の賠償資金の追加援助について認定した。これを受け、東電は同日夕、2011年4~12月期決算を発表する。総合計画の策定が最終局面に入る前に、計画を認定する経産相が東電の経営権を国が握る姿勢を明確に示した格好だ。
東電の時価総額は現在、約3200億円。1兆円の資本注入なら、国が3分の2以上の議決権を得ることは十分に可能。ただ東電は経営の独立性を重視し、国に経営権を譲り渡すことになお難色を示している。財務省も国が廃炉などの責任を負いかねないことを懸念し、議決権を半分未満にするよう主張している。
経産相は公的資金の活用に世論の理解を得るためにも、東電の経営権を国が掌握する必要があると判断。国の主導で東電の経営体制の見直しを進め、今後の電力制度全体の改革につなげる狙いがある。総合計画では、経営権を巡る東電の最終判断に加え、経営トップへの外部人材の登用、取引金融機関の追加融資などの課題にどう決着をつけるかが焦点だ。
東京電力、西沢俊夫、枝野幸男、福島第1原子力発電所
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