それに加えて、孫社長が公の場で親密さをアピールしているアップルのジョブズ前最高経営責任者(CEO)が退任したことも、両社の関係に微妙な変質を招いた可能性がある。トップ同士の太いパイプを武器にしてきた孫氏だが、ジョブズ氏の体調不良がささやかれるなか、次期CEO(当時)と目されていたティム・クック氏と友好な関係を築こうとする姿も目撃されていた。
■CDMA2000対応がKDDIに追い風
2008年に国内でiPhoneが発売されるまえから、日本の携帯電話会社3社は、水面下でiPhone争奪戦を繰り広げてきた。当初はW―CDMA方式のドコモとソフトバンクが競い合ったが、ソフトバンクはアップルに突きつけられた販売台数ノルマなどの条件を受け入れ、本命とされていたドコモを出し抜き、独占販売を勝ち取った。その後もソフトバンクはタブレット端末の「iPad」を国内で独占販売してきた。ユニークな宣伝戦略と世界的なヒット商品のiPhone、iPadはソフトバンクのユーザー獲得の両輪として機能した。
こうしたなか、アップルが11年、CDMA2000方式のiPhoneを発売したことで、がぜん追い風を受けたのがKDDIだった。同社は、表向きはiPhoneについて「ノーコメント」(田中孝司社長)を貫きつつ、スマホでは「android au」を前面に打ち出しながらも、その裏ではiPhoneを受け入れるための用意を着々と進めていたのだ。
その1つが、iPhoneを含むグローバルメーカーの端末を導入するための技術的な準備だ。
海外端末は、同じ800MHz帯の周波数帯でも日本では通話できないという問題があったが、KDDIが新800MHzに移行することで課題をほぼ解消できた。これは新800MHzでしか使えないとされていたグローバルモデル「HTC EVO WiMAX」を国内に導入したことで証明済みだ。
キャリア内・キャリア間メールとして導入されている「Cメール」も、iPhone対応の準備を進めている。グローバル仕様に合わせ、SMS(ショート・メッセージング・サービス)・MMS(マルチメディア・メッセージング・サービス)に移行しているのだ。「WindowsPhone IS12T」など一部のグローバルモデルではCメールを送信できない状態が続いているが、これもSMS・MMS仕様にすることで対応可能になるという。
KDDIのSMS・MMSの導入は来年1月以降になる見込み。仮にiPhoneを導入した場合も、それまではSMS・MMSを送信できないこともあるため、KDDIによるiPhone発売自体、来年1月以降になる可能性が高い。
コンテンツ配信でも周到に対応を進めてきた。KDDIの音楽配信プラットフォーム「LISMO」がアップルの「iTunes」と競合するという見方もあった。しかしKDDIではスマホにLISMOを搭載する必要性は感じていないようで、「ユーザーが望むプラットフォームならば、可能なかぎり導入する」という玉虫色のスタンスをとるようだ。
iPhone、アップル、ソフトバンクモバイル、iTunes、KDDI、iPad、NTTドコモ、グーグル
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