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「AKB」に65万人 ライブハウス「ニコファーレ」本当の狙い
ドワンゴ川上会長が抱く「ニコ動」とリアルの融合の先

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2011/7/23 7:00
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 「ニコファーレの目的の1つに、世界向け発信というのがあるんですよ。ここから世界配信ができるわけじゃないですか。むしろ、世界がここを見ろと。世界の聖地になればいいんですよ」。話が佳境にさしかかった時、こんな言葉が川上会長の口からこぼれた。

■世界進出の足がかりに

 「僕のテーマなんですけど、アメリカのネット企業は簡単に世界進出できてるのに逆をやった日本企業なんて1つもないでしょう? しかも日本のオフィスを作らずに進出してくるじゃないですか。だから僕も日本から1歩も出ずに世界に通用するサービスを作りたい(笑)。ニコファーレだったらできると思うんですよね。世界から見ても、これはちょっと価値がある」

 「基本は、ソフトってものはハードの器があって初めて進化するものだと思ってるんですね。米アップルなんかはハードごとソフトを作っちゃう。で、ネットサービスにおいても例えばニコファーレを作ったことによって、ここでしかできない世界で唯一のサービスが作れるんですよね。パーソナルツールのハードとソフトを融合したのがアップルだったら、公共空間のハードとソフトを融合させたのがニコ動。お見せしたデモはうちじゃないと作れないサービスなんですよ」

ステージ上のカメラが映した映像にAR技術で3Dキャラクターを合成したものが、写真右側のLEDモニターに映っている
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ステージ上のカメラが映した映像にAR技術で3Dキャラクターを合成したものが、写真右側のLEDモニターに映っている

 記者発表会の様子をニコ生で見ていたユーザーが一段と盛り上がったのが、ボーカロイドの3Dキャラクターがライブに登場したデモの時だ。ステージ上にはギタリストとダンサーが2人。中央は空いている。だがニコ生の画面には、AR技術で合成されたキャラクターがバックダンサーを従えて踊っている様子がしっかりと映っていた。激しいカメラワークにもぶれることなく、あたかもそこにいるかのように。

 「おおおおおお」「すげーーーーーー!!!」……。四方のLEDモニターにリアルタイムのコメントが流れていく。こうしたコメントは、AR技術でライブ会場の空中を舞ったり、回転しているように見せることもできる。後にニコ生の中継をタイムシフト再生して見ると、確かにこんな体験はどこにもないと思える。例えば英語でライブを行ったら。米国ユーザーが英語でコメントを飛ばしたら。その可能性を川上会長は感じている。

内覧会のデモを中継したニコ生の映像から(コメント非表示)。3Dキャラクターのみならず、光りながら動くステージ上のライティングも合成していた
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内覧会のデモを中継したニコ生の映像から(コメント非表示)。3Dキャラクターのみならず、光りながら動くステージ上のライティングも合成していた

 「アジアもいいけれど、この前、ロサンゼルスで行われた3D初音ミクのライブも人気があったので、意外と米国もいけるという気がしますね。ただ、海外進出するって安易に言いたくはないわけですよ。なぜかというとそれは本当に難しいから。これは試行錯誤の過程。ニコファーレで確実に世界進出ができると決まったわけじゃない。でも、それへの重要なパーツを提供してくれるんじゃないかなと思ってやっています。海外進出の役に立てればいいなあと」

■テレビメディアとのコントラスト、明瞭に

 ニコファーレがエンターテインメント業界やコンテンツ産業にどれだけの収益をもたらすのか、ニコ動アーティストを昇華させる装置となり得るのか、そして、海外にも受け入れられるほどのコンテンツとなるのか。いまのところは未知数と言わざるを得ない。

 サービスの本格開始からわずか1年で登録会員数が500万人を突破したはいいが、依然として多額の赤字を出していた08年2月、川上会長はこう話していた。「ニコ動というのものは、ユーザーが引き起こした突然変異みたいなもので、何か特異なアクシデントが起きているんですよね。これがどうなっていくのかに関心があって、今すぐマネタイズする必要なんか別にないんですよ。だから、当面はユーザーと一緒に見守っていく感じですかね」

 それから3年半。優先的に動画を楽しめる月額525円の有料会員は132万人に増えた。10年1~3月期には念願のニコ動事業の黒字転換を果たし、薄利ではあるが利益を確保。11年1~3月期、ニコ動事業の売上高は23億5700万円、営業利益は2億7200万円となった。ただ、これらの数字は依然としてアクシデントが続いている今も、あまり意味をなさないのかもしれない。

 この24日に地上デジタル波に完全移行するテレビは、若年層になるほどテレビ離れが顕著だ。NHK放送文化研究所の「2010年 国民生活時間調査報告書」によるとテレビの視聴時間が最も長いのは70代の1日平均5時間半。最も短いのは10~20代の男性で2時間を割っている。

すでに多くのユーザーが、ニコファーレからの映像を通じてコミュケーションを楽しんでいる
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すでに多くのユーザーが、ニコファーレからの映像を通じてコミュケーションを楽しんでいる

 対して1日平均708万人が訪れるニコ動。多い日は1日5000以上もの番組がニコ生で流れ、ユーザーは1日平均約70分も滞在し、その盛り上がりは日々増している。過半を占める20代以下が、既存産業とは別次元のニコ動から生まれたスターに釘付けになっている。

 そこへ投入したニコファーレという新手の装置は、ドワンゴの経営を圧迫することはあれど、ユーザーを落胆させることはないだろう。体験したことのない双方向のコミュニケーション。ニコ生に流れるコメントを見る限り、ユーザーからの評判は上々だ。「おじさん」の知らないところで、また何かが起きそうな予感を十分に感じさせる装置であることには違いない。

(電子報道部 井上理)

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