(2012年2月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
景気後退は目を見張るほど明らかだが、景気回復は徐々に姿を現してくる。先週発表された1月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が24万3000人増加していることが示され、景気が急上昇する局面に入ろうとしているのではないかとの期待につながった。残念ながらこうした状況が起こる可能性は低いが、次善の状況に向かう根拠は増えている。米景気は癒えつつあるのだ。
■民間で進む債務圧縮、銀行融資は拡大へ
この3年間は住宅価格の下落や高失業率、繰り返し続く景気後退懸念によって、途切れがちな景気回復の厳しさが浮き彫りになった。米経済は借金にあおられた住宅バブルと、住宅バブルの崩壊に続く2007~08年の金融危機という負の遺産から抜け出すために必死でもがいてきた。
住宅差し押さえ件数が増加する見通しや米政府の財政赤字解消の必要性など景気の足かせはなお多く、経済が急成長するチャンスは限定的だ。だが、信用や住宅、労働市場など金融危機で打撃を受けた米経済の一部では、健全さが回復する兆しがみられる。
債務は金融危機の最大の負の遺産だが、少なくとも民間部門では債務圧縮が進んでいる。国内総生産(GDP)に対する家計債務の比率は約10%低下した。低金利で債務返済コストは急減し、貯蓄率は約4%で安定しているようだ。
エコノミストらは持続可能な水準の負債や貯蓄について議論しているが、銀行は融資を再び拡大する構えをみせ、消費者は借金し始めている。米連邦準備理事会(FRB)のまとめでは、昨年12月の消費者信用残高は年率換算で前月比9.3%増えた。
■住宅市場に5年来の明るさ
負債圧縮と融資条件の緩和により、住宅市場にはこの5年間で初めて明るい兆しが見えている。
一部の州ではバブル期に建設された住宅の大幅な供給過剰を抱えているが、その他の地域では住宅建設の凍結で供給が減っている。
住宅着工件数が上向き、新規の住宅ローンが増加する一時的な兆しもある。都市部の一部では、自宅を失ったり、住宅ローンを受けられなかった人が供給に制限のある賃貸住宅に入居しようとするケースが増え、賃貸住宅の家賃が2ケタ台のペースで上昇している。
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