円、米景気不安後退しても売られにくい
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのストラテジスト、マーク・チャンドラー氏
8月の米雇用統計は民間部門の雇用者数の増加幅が市場の見通しを上回り、予想以上に強い内容だった。米景気の先行きに対する不安が後退したことで対円でドルが買われ、円は一時1ドル=85円23銭まで下げ幅を拡大した。株式市場で雇用統計を好感した買いが続き、外国為替市場では低金利通貨である円やドル、スイスフランがユーロなど相対的に金利の高い通貨に対して売られた。投資家が運用リスクを取りやすくなったためだ。
もっとも、市場では足もとの対ドルでの円高基調が反転したとの見方は乏しい。このところ円の対ドル相場を下支えしているチャート上の20日移動平均線(85円05銭近辺、3日時点)よりも円安・ドル高の水準では日本の輸出企業などの円買い・ドル売りが控えており、円の下落は長続きしない。雇用統計の発表後に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の非製造業景況感指数が市場予想以上に悪化したことも、円買い・ドル売りを誘った。
民主党代表選に立候補している小沢一郎前幹事長が代表選の政見で円高阻止に向けた市場介入を明示した。介入警戒感から対ドルで円の上値が抑えられており、(円上昇に過熱感がないため)低金利通貨が売られる場面では円の対ドル相場は下がりにくくなっている。円が一時的に80円を突破するような円高にならない限り、円反落の機運は高まりにくそうだ。相場反転には米景気の先行きに対する警戒感が払拭(ふっしょく)される必要もある。(NQNニューヨーク=滝口朋史)
債券調整局面に、10年金利年内3%超も
RBSの債券ストラテジスト、ジョン・ブリッグス氏
8月の米雇用統計は(民間部門の雇用の増加幅が市場予想を上回るなど)警戒していたほど悪い内容ではなかった。米景気失速への過度の懸念がいったん後退し、米連邦準備理事会(FRB)が21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加の金融緩和を見送ることがほぼ決定的になった。
先月は経済指標の悪化が目立ったが、9月に入ると雇用統計や米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数など予想を上回る指標の発表が続いている。今後の経済指標の結果次第だが、債券相場はこのところ急伸していたこともあり、むこう数カ月は調整局面となるだろう。10年債利回りは短期的には2.75%前後で推移し、年内に3%を上回る可能性がある。
ただ、その後は割安感を背景に買いが入り、年末には2.75%近辺に低下するだろう。雇用統計での民間雇用者数の増加幅も(水準自体は)依然として小さく、米雇用改善のペースは引き続き緩やかだとみている。米景気の回復ペースは遅く、長期的には債券の地合いは強い。(NQNニューヨーク=古江敦子)
内容悪く、株価の反応は過剰
証券会社ナショナル・セキュリティーズのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ドナルド・セルキン氏
8月の米雇用統計は失業率が前月から上昇するなど基本的に良くない内容だった。民間部門の雇用者数が前月から6万7000人増えた点に着目して米株式相場は大幅高になったが、これは市場予測が直前に切り下がっていたため結果が良く見えただけのこと。民間の増加幅は過去数カ月と同じく低水準が続いている。市場の反応は過剰で、奇異な印象を受ける。米景気が「二番底」に陥るとの思惑が飛び交うなど、投資家が過度に弱気になっていたということだろう。
当面の株式相場は、現状の水準でもみ合いが続くとみている。米景気は株価を大きく押し上げるほど強くないが、二番底に落ち込むほど弱くもない。11月初めの米中間選挙の結果や、2011年の米企業収益予想を見極める展開となりそうだ。中間選挙後は(政局不透明感の後退などから)年末にかけて上昇するとみている。(NQNニューヨーク=森安圭一郎)
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| 日経平均(円) | 8,729.29 | +95.40 | 22日 大引 |
|---|---|---|---|
| NYダウ(ドル) | 12,504.48 | +135.10 | 21日 16:30 |
| 英FTSE100 | 5,371.25 | +66.77 | 22日 12:45 |
| ドル/円 | 79.82 - .84 | +0.52円安 | 22日 20:40 |
| ユーロ/円 | 101.82 - .86 | +0.53円安 | 22日 20:40 |
| 長期金利(%) | 0.855 | ±0.000 | 22日 15:25 |
| NY原油(ドル) | 92.57 | +1.09 | 21日 終値 |
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