家計の節約志向を映してベランダ菜園が人気だ。でも、実際には手間のわりにうまく育たないという失敗談も聞く。野菜作りの経験がないうえ、ベランダの日当たりが悪いマンションに住む記者(29)でも育てられるのか。天候不順で野菜が値上がりする中、おいしいサラダを思い浮かべてベランダ菜園に挑戦した。
まず野菜作りの本を5冊読破した。分かったのは初心者には葉物野菜が育てやすいということ。約1カ月で収穫でき、そのまま食べられる手軽さがいい。
次は葉物野菜の風味を下調べ。サラダにした時に、程よい苦みや辛みなどいろいろな味わいがあるとうれしい。考えた末、ベビーサラダミックス、バジル、コマツナ、カラシナ、ガーデンレタスミックスの葉物5種類と赤い彩りになるラディッシュの計6種類を種から育てることにした。
いよいよ種まき……。でも慌ててはいけない。枯れればそこで終わる試みなので、「はじめてのおうち野菜」(主婦と生活社)の著者でベランダ菜園に詳しい岡井路子さんに相談した。
困ったのは容器。園芸用プランターは狭いベランダでは場所を取る。岡井さんに尋ねると「紙コップでも立派に成長する」という。即席みそ汁のカップや卵パックでも可能らしい。それぞれの容器の底に5カ所ほど穴を開け土を入れれば立派なプランターになる。
容器が決まり、土は一般的な園芸用土を使うことに。そして種まき本番へ。ベランダ菜園では発芽すらしない失敗も多いらしく、主な原因は「土の湿らせ方が不十分なこと」(岡井さん)。ふたができるみそ汁カップや卵パックは保湿効果がある。ただし、種が呼吸できるよう、ふたにも穴を開ける。種は1つの容器に多くて10粒ほどで十分。たくさん入れると、養分が足りず育ちが悪くなる。
ふた付き容器 2日目に発芽
種を入れたらたっぷり水を含ませた土を軽くかぶせるだけ。6種類のほか、岡井さんがすすめてくれたミニトマトの苗と、料理で余った芽ネギの根も植えた。
「発芽までは土の乾きに気をつけて」と岡井さんに注意され、休日だった種まきの日は心配で2時間ごとに様子を見た。ふた付きの容器は蒸発した水分がふたについて循環するのでほとんど乾かなかったが、ふた無しは乾きが早い。
種まきから2日目の朝、その差が出た。ふた付き容器からは早くも小さな芽が顔を出す。発芽までは湿り気が大事ということだ。
発芽後は日に当てるためふたを外す。種まきから5日後、ふた無し容器からも芽が出そろい、ほっとする。だが、日当たりが気がかり。前に立つビルの陰になり日照時間が少ない我が家。晴れた日に計ると、直接日が当たるのは午前中の約1時間20分程度しかない。
「日光が足りないとひょろひょろになる」(岡井さん)のは避けたい。少しでも日当たりや風通しのいい場所を探すため、その時間帯に太陽の動きを観察。その結果、避難経路としてあけるスペースを除いていちばん日当たりがいい位置がわかり、そこを定位置にした。もっとも「逆に日当たりが良すぎると葉が焼けることもあり、すだれなどで日差しを遮る対応も必要」(岡井さん)だという。
発芽から1週間。野菜の芽が5センチほどに伸びた。ただ込み合って日が当たらない葉は生育が遅れいびつな形をしている。そこで「野菜を大きく育てるのに不可欠」(岡井さん)な間引きをする。形の悪い葉を中心に全体の約半分引き抜く。かわいそうな気もしたが、抜いた芽を洗って食べると新芽らしくみずみずしい。サラダへの期待が膨らむ。
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