ちょっとしたことを頼まれたとき、「ハイッ」と気持ちよく動ける場合と「エーッ そんなの自分でやれば……?」と拒否したくなる場合があります。忙しいから手伝えないという問題よりも、相手のちょっとした心遣いのひと言で、違いは生じてくるようです。
たとえば「そこの資料を取ってもらいたい」「この伝票を経理まで届けてほしい」「お昼のお弁当、私のも買ってきて」などという時、突きつけるように「取ってッ」「行ってきてッ」「買ってきてッ」では、丸っきりの指示命令で、お願いにはなっていません。
その点「今ちょっといい?」「今大丈夫?」「悪いけどいいかな」などという配慮のひと言が付くだけで、「はいどうぞ」と素直に思えるもの。この心理は誰にとっても同じなのではないでしょうか。
仲間内なら、あまり難しく考えず、「ゴメン、ちょっとお願い」と気持ちが伝われば十分ですが、先輩など少し距離のある相手には、「恐れ入ります、よろしいですか」を。そして必ず最後に誰に対しても「ありがとう」を忘れないようにしましょう。
あの人には頼みやすいという良い人間関係は、毎日のこうした小さなやりとりから生まれる好感が、コツコツと積み重なった貯金のようなものなのです。
家庭でも、「お茶」とか「生ゴミ!」のひと言で済ませない。やってもらって当たり前という感覚を見直して、「今いい? お願い!」と言えたらいいですね。
(コミュニケーション塾主宰 今井 登茂子)
[日経プラスワン2010年9月4日付]
実践マナー