相手に喜んでもらえるものを贈るには、普段からおいしいものの情報収集をしておき、実際に食べてみることが大事です。レパートリーを増やし、その中から相手の好きそうなものをピックアップするのです。
同じお土産をお持ちするのでも、ただ持って行けばよいと考えるのと、相手により喜んでもらえるものをと考えるのとでは、相手との人間関係に影響するように思います。
渡す時の作法ですが、紙袋は風呂敷と同じでチリよけ、ホコリよけです。ですから紙袋から出して渡すのが基本です。ただ実際に伺うと応接間や会議室などでお渡しするケースが多いので、私は紙袋に入れたままお渡しすることにしています。ビジネスの場合はその方がよいと思っています。
なぜなら、袋からだして品物だけ渡すと、相手が自分の部署まで持って行くのに持ちづらいからです。マナー違反をするわけですから「袋のままで失礼します」と一言添えて出します。その時、気をつけていることは、差し出した袋の取っ手の部分を相手がすぐ持てるようにすることです。
なお「つまらないものですが」という言い方には、あなたがあまりにも素晴らしい方だから、持参したものがつまらないものに見える、という心が込められています。新渡戸稲造が「武士道」の中で、こういう趣旨のことを書いています。今の時代に合わないといわれればそれまでですが、その意味を是非、知っていただきたいと思います。
(マナーデザイナー 岩下 宣子)
[日経プラスワン2010年8月28日付]
土産、レパートリー、武士道