「メル友がほしいの」
「じゃぁ、インターネットで探そう」
「難しくない?」
「簡単だよ! 世界中の人たちがパソコンを通じて友達をつくってるんだから」。
このやりとり、なんだとおもいますか? ちょっと読むと、中学生にありそうなやりとりに見えるかもしれません。でも、実はこれ、中学の英語の教科書に出てくる文章を和訳したものです。
ネットや携帯の有害サイトは、年頃の子どもを持つ親に共通した悩みです。
出会い系サイトをきっかけに悲惨な事件に巻き込まれたり、気軽に書き込めるブログに書き込んだ一言からいじめが始まったり……。便利ではあるものの、様々なリスクも伴うネット社会。楽しい、便利といったメリットばかりを強調しすぎるのはいかがなものか、と常日頃思っている私としては、子どもたちが学ぶ教科書になんでこんな文章が掲載されているのかとビックリしてしまいました。
友人に、お嬢さんの期末テストの勉強を見てやってちょうだいと頼まれ、教科書を広げたら出てきたこの文章には、文法の説明なんてふっとんでしまいました。思わず、「メル友っていったって、ネットの向こうで『私も中学生よ』ってメールくれる人が、本物の中学生だとは限らないわよ。世の中全員が悪い人ではないけれど、だましてやろうと思う人もいるから、簡単だからってインターネットでメル友作ろうなんて思っちゃダメよ!」と試験勉強そっちのけで、説明してしまいました。
携帯電話やインターネットの世界は、親世代の私たちが子どものころにはなかったものなので、親として失敗の経験や自分なりの判断基準などを伝えられません。しかも、機械の操作や知識は、子どもたちの学ぶスピードが親をはるかに上回っています。ときとして、ネットで異性の友達と仲良くなるなど、親の想像を超えたことも起こります。
つい先日も息子がネットで知り合ったガールフレンドに会いに行くと言い出して大騒ぎになったのよ、という話を仕事仲間から聞きました。ゴールデンウイークに一人で彼女の地元まで会いに行く旅を企てていた息子さん。心配したお母さんに説得され家族旅行として全員で出掛けることに同意。彼は1日だけ家族と別行動をし、ネットフレンドだったガールフレンドと初デートをしたというのです。
デートにあたっては、あらかじめ母親である友人が先方に電話を入れ、親同士で話をしたとのこと。「ちょっと過保護かとも思ったけど、相手が本当に同じ年のお嬢さんかどうかもわからないし、先方だってどんなやつが来るのか、親御さんは不安だろうと思って、思い切って電話してみたのよ」。中学生がネットで知り合った相手に会うというのですから、親が心配するのは当たり前。このくらいは過保護ではないでしょう。
幸いガールフレンドは本当に同じ年のかわいらしいお嬢さんだったそうで、友人はほっとしたと言っていました。それはきっと、お嬢さんのご家族も同じだったに違いありません。
夏休みになると、友人との連絡も携帯が中心で、学校のある時より子どもたちの人間関係や行動が把握しにくくなります。電話帳に登録していない人のメールは受け取らない機能の付いた子ども向け携帯を使わせている友人もいます。我が家でも、子ども用サイトしかアクセスできないように、携帯会社のアクセス制限を利用しています。
もちろん、そうしたシステム上の制限だけでなく、使い方や友達関係などについて、普段から子どもと話ができる関係を築いておくことも大事です。思春期の子どもたちと穏やかに話せる親子関係って、口でいうほど簡単ではありません。でも、危険な目にあってからでは遅いですものね。多少頭に来ることがあっても我慢しつつ、メールやインターネットの使い方や危険性については夏の間にちょこちょこと話さなくちゃと思っています。みなさんのお宅では、どんなふうにしておられますか?
(ナチュラルライフ研究家 佐光紀子)
「シンプル家事」や季節感のある食卓など、子どもと一緒に体験したい暮らしの工夫や、親子のコミュニケーションについてつづります。
筆者紹介
佐光紀子(さこう・のりこ)=翻訳家・ナチュラルライフ研究家。日本の暮らしに合った、無理のないエコライフを提案している。著書に「男の掃除」(日経BP)「重曹大事典」(ブロンズ新社)など。1961年生まれ。メーカー、証券勤務を経て現職。東京在住。家族は大学生の長男と高校を卒業した次男、中学生の長女と夫。
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