千曲川沿いに田園が広がる長野県飯山市。古民家や棚田など日本の原風景が魅力だが、観光のもう一つの目玉が森を健康増進に利用する「森林セラピー」などのグリーンツーリズムだ。森には心身を癒やすパワーがあるという。実際に森を歩き、その効果を試してみた。
JR戸狩野沢温泉駅から車で15分、鍋倉山ろくにある体験宿泊施設「なべくら高原森の家」に到着した。森の家は森林セラピーの拠点施設。さっそく近くのセラピーロード「ブナの里山こみち」を歩くことにした。
「みなさん、五感を使って歩いてください」。森の案内人の白田武司さん(35)が4人の参加者の先頭に立って歩き始めた。この日は気温30度を超す真夏日。だが森に入った途端、涼しい風がほおに伝わる。間伐材を利用したウッドチップの歩道が続く。車いすやベビーカーを押す人も利用できるユニバーサルデザインのコースだ。
スギ林を通り過ぎ、様々な広葉樹が茂る場所に出た。「この木は何か分かりますか?」。白田さんがトゲだらけの枝を差し出す。タラノキだった。「若芽は天ぷらにするとおいしい。森は食べ物の宝庫なんです」
白田さんに促され、今度は木の枝のにおいをかいだ。甘い香りがする。和菓子用のようじに使われるクロモジだった。
途中で森の雰囲気が変わった。いつのまにか空高くブナの木が伸びる林に入っていた。「ここでゲームをしましょう」と白田さん。「好きな場所を選んで、じっとしていてください」。ブナの木の下に行き、目を閉じ、耳を澄ました。遠くで鳥の声が聞こえる。目を開けると、木漏れ日と風に揺れる枝が見えた。静かだ。何もしなくても癒やされたような気がしてくる。5分後に参加者が集まり、それぞれが感じたことを語り合った。
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