■寿命、わずか20年
東京建物と大成建設が共同で進める「大手町の森」建設現場では、100メートルを超える24階建てのビル、大手町フィナンシャルセンターの解体工事が進んでいる。実は解体中のこのビルができたのは1992年。建設されてからまだ20年もたっていない。大手町・丸の内・有楽町周辺の活性化をはかるために結成された大丸有協議会の金城敦彦事務局長は「一般的にビルの寿命は40年くらい」と話すが、それにしても短い。
今回工事を手がける東京建物は「一体的に開発をする上では、このビルを解体したほうが合理的」(広報部)と説明する。今、フィナンシャルセンターが建っている場所には、「大手町の森」と呼ぶ都会のオアシスを作るという。千葉県君津市で育てた200本の木を、移植し3600平方メートルの森とする計画。隣接する38階建て新ビルの1階には商業施設を設けるほか、国際的に知名度の高いホテルをテナントとして誘致するそうだ。ただ20年もたたずに解体されるフィナンシャルセンターを見上げ、「もったいない」と感じる人は少なくない。
■背景に金融再編も
建設中のビルの多くはもともとメガバンクなど金融関係の企業が所有するものが多い。JPモルガン証券シニアアナリスト、穴井宏和さんによれば、こうした建設ラッシュの背景には「メガバンクの再編などの企業統合の増加」も影響しているという。「統合すると規模も人数も増え、大きい床面積を持つビルが必要になる」。またバラバラのビルに分かれて働くよりも、大きなビルでお互いの顔を見ながら仕事をするほうが、統合後の効率が高まるとの読みもある。
かつてはオフィスばかりだった丸の内・大手町地区だが、最近はショッピングエリアとしても魅力が増している。「オフィス向けの“淡泊”な古いビルよりも、商業施設も含んだ新しいビルを建設したほうが、人が集まりお金を落としてくれる」(穴井氏)ことも、建て替えブームの一因となっている。
「不景気といわれる日本経済なのに、こんなにビルを建設して大丈夫?」との疑問も湧いてくる。
三菱地所の細包憲志都市計画事業室長は「丸の内は都内でも一番需要が高く、大丈夫」と強気だ。オフィス仲介大手の三鬼商事調べ(今年3月)によると、丸の内・大手町のある千代田区のオフィスビル空室率は全国の主要ビジネス街の中で最も低い8.1%。
しかし、丸の内に限るとその数字はさらに低くなる。三菱地所所有の丸の内のビル空室率は2.2%にすぎない。
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