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ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール 吉原真里著 理想・現実…音楽と街の記録

2010/8/11付
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(アルテスパブリッシング・1800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)
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(アルテスパブリッシング・1800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

 目の見えない辻井伸行がピアノのクライバーン・コンクールで、昨年優勝した。テレビや新聞でも、その快挙は大きく報じられている。辻井のCDや、その人となりを伝える本も、街でよく見かけるようになった。

 クライバーン・コンクールは、アメリカのフォート・ワース市でひらかれる。市をあげていとなまれる、四年に一度のもよおしである。この本は、それがいったいどういうコンクールであるのかを、おしえてくれる。フォート・ワースで昨年つぶさに見聞したうえで書かれた、ドキュメンタリーである。

 話は、音楽だけにおわらない。フォート・ワースにとっての街おこしめいた側面へも、光をあてている。コンクールをささえる裏方、ボランティアやスポンサーの様子が、よくわかる。クラシック音楽をはぐくむアメリカ社会そのものが、とらえられている。

 社会階層や人種のちがいといった問題からも、目はそむけない。ととのった広報体制が、ピアニストたちに負担をかける様子も、えがいている。そのうえで、このコンクールがめざす理想も、好意的にあらわす、バランスのとれた読み物だ。

★★★★

(風俗史家 井上章一)

[日本経済新聞夕刊2010年8月11日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

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