
オルセー美術館展2010「ポスト印象派」(国立新美術館で8月16日まで)の名画が、筆づかいまで伝わる拡大サイズで、ぐぐっと迫る――。電子版の“技”を駆使し、実験的な鑑賞会へご案内します。取り上げたのは来館者アンケートで人気のあった3作品。作品をクリックし、「ズームアップ『オルセー美術館』」を起動してください。幻想的な世界の中へ分け入ってみることにしましょう。ゆっくり、名画と向き合うひとときを――。
▼ゴッホ「星降る夜」 強烈な量感、色彩のマジック
まず、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~90年)の「星降る夜」を見てみましょう。南仏アルルのローヌ河畔で、彼がこの絵を描きはじめたのは、1888年9月。そのころ、弟テオにあてた手紙の中で、彼は「真の色彩画家ならば誰でも、南へ来てみて、そこには北と違った色彩があることを認めなければならないはずだ」「昼よりも夜の方が生き生きとしていて色彩に富んでいる」などと書いています(「ゴッホの手紙」岩波文庫版)。ズームアップでたどってみたいのは、まさに、彼が喜々として描いた南仏の夜の色彩美です。
「空は青緑色、水は紺、地面は赤紫だ。街は青と紫、ガス灯は黄色で、その反射は金褐色から緑がかった青銅色まで。青緑色の広い空には、大熊座が緑とバラ色に輝き、その地味な淡い光はガス灯の荒々しい金色と対照的だ」(前掲書)。ゴッホが強烈な量感で描き出した色彩マジックの世界へ、入り込んでみましょう。
なお、当時のゴッホは、明るい南仏の地で希望に満ち、盟友ゴーギャンの来訪を待ちわびながら、創作に打ち込んでいました。「星降る夜」には、そんな彼の穏やかな心境がにじみ出ています。ゴーギャンとの共同生活が悲劇的に終わり、その後に描いた名作「星月夜」(1889年)が狂おしい描線と色彩であふれているのと対照的です。
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オルセー美術館展2010「ポスト印象派」では、女優・陽月華さんらによる音声ガイドを、有料で提供しています。今回お聴きいただくのは、各作品の音声の一部分です。実際の音声ガイドには、BGMも入っています。
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