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日経優秀製品・サービス賞2016

日経産業新聞賞

最優秀賞(5点)

  • 仮想現実(VR)端末「プレイステーションVR」=ソニー・インタラクティブエンタテインメント
    仮想現実(VR)端末「プレイステーションVR」=ソニー・インタラクティブエンタテインメント

    仮想現実(VR)を体験できるゴーグル型の専用機器。ゲーム機「プレイステーション4」につないで使う。装着すると360度どこを見ても映像が表示され、まるでゲームや映画の世界に入り込んだかのような新鮮な感覚が楽しめる。高性能ながら価格は税別4万4980円に抑えた。

    内蔵した6軸センサーと前方に設置したカメラで頭部の動きを検知し、眼前の映像に反映させる。ディスプレーには有機ELを採用し、高精細で滑らかな映像を映し出す。

  • 「車載用重希土類フリー磁石」=大同特殊鋼
    「車載用重希土類フリー磁石」=大同特殊鋼

    ハイブリッド車(HV)などの自動車の駆動モーターに使う高性能ネオジム磁石。中国に偏在するレアアース(希土類)の一種である重希土類を一切含まないため、調達リスクを下げられる。駆動モーター用ネオジム磁石として重希土類フリーを実現したのは世界で初めて。ホンダが2016年秋発売のHVミニバン「フリード」に採用した。

    ジスプロシウムなどの重希土類を耐熱性を高めるのに使うのが定石だったが、磁石材料の結晶を微細化し、重希土類を使わずに耐熱性を確保した。

  • 大型トラック「ギガ」=いすゞ自動車
    大型トラック「ギガ」=いすゞ自動車

    大都市間を結ぶ幹線輸送に利用する大型トラックを21年ぶりに全面改良した。部品につけたセンサーで車両の状況を把握し、故障を未然に防ぐ仕組みを国内で初採用した。エンジンのトラブルなどトラックが止まってしまう原因の大半を察知する。走行中の約8万台のトラックから収集したビッグデータをもとに、どの程度使ったら壊れやすくなるかが把握できるようにした。

    排ガス浄化装置にたまったすすの量を感知して、事前に整備を促す。配送の合間などに販売店で整備できる。

  • 「世界最高速エレベーター」=三菱電機
    「世界最高速エレベーター」=三菱電機

    最高速度が分速1230メートル(時速73.8キロメートル)と世界最高速で走行するエレベーター。中国・上海市の超高層ビル「上海中心大厦」向けに開発し、2016年7月に納入、稼働を始めた。地下2階から地上119階にある展望階までの到達時間は約53秒。大容量モーターと2台の制御装置を組み合わせた。

    風圧による横揺れを軽減させるため、超高速運転に対応した制振システムを採用。人が乗る「カゴ」の上下の形を流線型にすることで、騒音を小さくして快適な乗り心地を追求した。

  • 3Dプリント樹脂型「デジタルモールド」=スワニー
    3Dプリント樹脂型「デジタルモールド」=スワニー

    3Dプリンターを使って作製した樹脂製の金型で、樹脂部品の量産に使える。金属製の金型は工作機械を用いて作製するため、作製する期間も長くかかり、経費もかさんだ。「樹脂型」はこれを大幅に抑えることができ、試作品の生産や多品種少量生産に向く。

    3Dプリンターで製造する部品を直接造形する手法では素材が3Dプリンターで使える樹脂に限定され、強度の検査ができないという弱点があった。

優秀賞(11点)

  • 3D地図「AW3D」=NTTデータ
    3D地図「AW3D」=NTTデータ

    5メートル単位で起伏や地形を知ることができる高精細な地図データ。このレベルで3D地図データで全世界分をそろえたのは世界初としている。同時に場所を限れば50センチメートル単位の超高精細データも提供できる。

    リモート・センシング技術センターや宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと協力、地球観測衛星「だいち」の画像を使う。

    防災、衛生、資源開発などの分野での利用が多く、政府・自治体、研究機関・大学、関連事業を手がける企業などに売り込んでいる。すでに60カ国以上300件超の導入実績があるとしている。

    50センチメートル単位のサービスでは、顧客が指定した地域であれば、個々のビルまで区別したり、1本の木がどれだけ成長したかまでとらえたりできる。津波の到達時刻の予測など防災への活用が期待できるほか、地下水や鉱脈の探索、都市部での携帯電話の電波の届き方などの予測にも使える。

  • 蚊取り機能付き空気清浄機「蚊取空清」=シャープ
    蚊取り機能付き空気清浄機「蚊取空清」=シャープ

    蚊を紫外線(UV)ライトで本体の小窓におびき寄せて、近づいたところを空気清浄機の気流で吸引、内部の粘着シートで捉える。薬剤を使わず、子供やペットのいる家庭でも安心して使える。価格は約3万円から。

    もとはマラリアなど蚊の媒介する病気の被害が深刻な東南アジア向けの製品として開発された。2015年からタイなど6カ国で発売したところ、現地では高額ながら、販売台数が約半年間で当初計画の2倍のペースに達する人気となった。

    日本でもニーズがあるとみて仕様を改めて16年4月に発売した。国内向けは基本構造はそのままに、東南アジアよりも蚊が少ないため粘着シートを使い捨てにしたほか、取った蚊を見なくても済むようにシートを二つ折りできるようにした。

    発売後店舗での品薄が相次ぎ、当初計画の約3倍にあたる月1万台程度に生産を増やすヒットになった。

  • 転倒防ぐ車いす「転ばなイス」=フランスベッド
    転倒防ぐ車いす「転ばなイス」=フランスベッド

    利用者が立ち上がる際の転倒事故を防ぐ車いす。足をのせるペダルを踏み込むと、フットレストが下がって床に接する。フットレストに体重をかけても車いすが動かなくなるため、前方に転ぶことなく安全に降りられる。

    従来の車いすでは、降りる際にペダルを踏み込むと人の体重を支えられず、車いすが傾き利用者が前方に倒れてしまう例が多発したという。複雑な技術を用いることなく、利用者の悩みだった転倒を軽減する仕組みを実現できた点が評価された。

    2016年5月に発売した。サイズは全幅64.5×全長97×全高86センチメートル。重さはクッションを含めて20キログラム。販売価格は17万8000円(非課税)。

    体重移動を座席の下にあるベルトで察知し、スプリングの力でブレーキレバーが引かれ、自動でブレーキがかかる機能も取り入れた。介護保険利用者は月700~1400円で借りられる。

  • 駐車場シェアリングサービス「akippa」=akippa(アキッパ)
    駐車場シェアリングサービス「akippa」=akippa(アキッパ)

    個人や企業が保有する空き駐車場を登録することで、運転者が検索し使えるようになるウェブサービス。空き駐車場のシェア(共有)は自動車や家に続くシェアリングエコノミーの代表格として普及が進んでおり、アキッパは同分野で国内最大手だ。手軽に貸し出せ、また借りられるのが強みとなっている。

    貸し手が駐車場の位置情報や貸出日、時間を設定すると利用者はスマートフォンやパソコンで利用日や場所を検索して予約できる。料金はクレジットカードで支払い、一般的な時間貸し駐車場に比べて3~5割安くなるという。

    最近ではトヨタ自動車や住友商事など大手企業と提携し、登録駐車場数を拡大。2014年にサービスを始め、登録駐車場数は16年10月末時点で全国7500カ所を超えた。観光スポットや野球場など休日に駐車場が不足しがちな場所を中心に登録を進めている。

  • 積層セラミックコンデンサー「GCBシリーズ」=村田製作所
    積層セラミックコンデンサー「GCBシリーズ」=村田製作所

    電子機器に欠かせない電子部品で、自動車用に耐熱温度を従来のセ氏150度から世界最高の200度に高めた。2016年12月から出荷を始めた。車のエンジン室など高温になる場所でも電子機器の信頼性を高く保つことができるようになる。自動運転の進展などにより電子機器の搭載が増える自動車で、設計の自由度が増す。

    セラミックコンデンサーは電気の流れを整えたり、ノイズを除去したりする村田の看板製品。世界シェアは約4割に上る。従来品は高温で使うと電極材料が腐食し、ショートしてしまう課題があり、車部品大手などから信頼性や耐熱性向上を求める声が強かった。

    材料メーカーなどと新たな材料を開発するなどしてより高温に耐えられるようにした。設計の自由度が高まると、コンデンサーを含む制御部をエンジン室内に置けるようになり、配線を減らして車を軽量化できるなどの効果が見込める。

  • ウルトラHDブルーレイプレーヤー「DMP―UB90」=パナソニック
    ウルトラHDブルーレイプレーヤー「DMP―UB90」=パナソニック

    ブルーレイ・ディスク(BD)の新規格の「ウルトラHD(UHD)ブルーレイ」のプレーヤーで、2016年7月に発売した。解像度がフルハイビジョンの4倍の4Kや、明暗差を鮮明に再現するHDR(ハイダイナミックレンジ)、幅広い色を再現する規格「BT.2020」などに対応し、最新技術を詰め込んだ。従来のブルーレイよりも鮮やかで立体感のある映像を再現できる。

    録画機能を省き再生に特化することで、録画もできる上位機種より価格を抑えた。店頭での実勢価格は6万円前後で、手軽に4Kを味わえる入門機種だ。パナソニックは15年にウルトラHDブルーレイの再生機器を国内メーカーとして初めて投入し市場を引っ張る。

  • 「人工知能(AI)を使った業務改革サービス」=日立製作所
    「人工知能(AI)を使った業務改革サービス」=日立製作所

    独自開発した人工知能(AI)を使って、顧客企業の業務改革を支援する。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」事業の柱となるサービスだ。顧客企業の生産現場や管理システムから集めた大量のデータを解析し、課題を浮き彫りにした上で具体的な業務改善を指南する。

    大きな効果が期待できるのは工場での活用だ。部品や仕掛かり品を収める箱にICタグを貼り付け、モノの動きをデータ化する。生産担当者らの作業状況や動き方も画像解析し、集めたデータを分析して効率的な生産手法を助言する仕組みだ。

    生産短縮、在庫や出荷計画の適正化、機器や設備の故障を予見できるなど様々な改善活動が容易になる。検討中も含めて外部での導入例は170件にまで増えている。

  • 「ダイソン スーパーソニック ヘアードライヤー」=ダイソン
    「ダイソン スーパーソニック ヘアードライヤー」=ダイソン

    ダイソンが初めて発売したヘアドライヤーで、ヘッド部分にドーナツのような穴あきの形状を採用した。羽根のない扇風機の特許技術「エアマルチプライアー」と同じ機構にしているため。製品名を日本語に訳すと「超音速」。吸い込んだ空気の量を3倍に増幅させ、高圧・高速の気流を生み出す。

    モーターはハンドル部分に収め、本体を持ちやすくした。毎分11万回転し、他社の高価格帯製品と比べ約1.5倍の風量をつくる。強い風で毛髪を、熱によるダメージを与えることなく乾かせるようにしている。

    2016年4月に東京・表参道の同社直営店で世界に先駆け発売した。価格は税別4万5000円。国内ヘアドライヤー市場で最高水準だ。

  • 金型用鋼材「SLD―i」=日立金属
    金型用鋼材「SLD―i」=日立金属

    金型の寿命を最長で従来の7倍にする鋼材で、顧客の製品品質の向上と設備コスト削減に役立っている。粒子が均一微細で、世界中どこで金型を造っても、国内製と同等の品質が確保できるのが特徴だ。従来製品と比較して熱処理によるゆがみを4割抑制し、劣化速度は3分の1、耐摩耗性は1.5倍という。

    安来工場(島根県安来市)で量産。2016年4月から販売し、米の金型メーカーなどに納めている。

    世界均一の品質をつくるために不可欠な均一微細な粒子を造る技術はあったが、高コストだった。日立金属は鋳造技術を工夫してコストを抑える技術を確立した。これまで製品製造のための金型の多くは工場のある現地で製造されており、鋼材も低価格が強みの現地メーカーが強かった。

  • 「認知症高齢者の見守りシステム」=綜合警備保障/徳武産業
    「認知症高齢者の見守りシステム」=綜合警備保障/徳武産業

    小型発信器「みまもりタグ」を活用し、徘徊(はいかい)する認知症高齢者の位置情報を把握する。発信器は綜合警備保障(ALSOK)が開発し、徳武産業(香川県さぬき市)はこのタグを違和感なくマジックバンド部分に収納できる専用靴を開発した。2016年夏から順次、タグなどを一部自治体で配り実証実験している。17年春にも一般販売する。

    タグは1年以上ボタン電池で動き、50~100メートル四方に電波を常に出す。玄関に置く感知器で電波が受信できなくなると認知症高齢者が外出したと判断。電子メールと警報音で家族や施設管理者に知らせる。

    地域で専用アプリをスマートフォン(スマホ)に入れる協力者を募り、靴を履く高齢者とすれ違うとスマホが自動で電波を捉えて位置情報をサーバーに送る仕組みだ。

  • 「北海道新幹線」=北海道旅客鉄道
    「北海道新幹線」=北海道旅客鉄道

    2016年3月26日に新青森―新函館北斗間(148.8キロメートル)が開業し、東京と函館が約4時間で結ばれた。グリーン車のさらに上に位置付ける「グランクラス」を設け、時間で勝る空路にはない快適さを追求した。同クラスの東京―新函館北斗間の正規料金は3万8280円。

    開業から9月25日までの半年間の乗客数は約143万5000人と、前年同期の在来線に比べ1.8倍に増加した。東京―函館の空路の利用者数もほぼ横ばいで推移しており、旅行需要全体の拡大に寄与している。

    新幹線は首都圏だけでなく、東北も北海道に近づけた。函館と東北各県の空港をつなぐ定期便はないため、仙台や盛岡からの所要時間は大幅に短くなった。津軽海峡を挟んだ青函圏でも新たな周遊ルートが確立しつつある。