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日経優秀製品・サービス賞2015

日経産業新聞賞

最優秀賞(5点)

  • 認知型コンピューター「ワトソン」=日本IBM
    認知型コンピューター「ワトソン」=日本IBM

    人工知能(AI)技術を活用したコンピューターで、人間の言葉を理解し文章を読むことができ、人間の意思決定を助ける。米IBMの創業者の名前にちなんで名付けられた。

    あらかじめ決めた手順によるデータ分析ではなく、必要なデータを文章から抽出することができる。日本では東京大学医科学研究所の患者データ分析やメガバンクのコールセンター業務に役立てるなど10件以上の導入事例がある。

  • 薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスター」=テルモ
    薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスター」=テルモ

    心臓に栄養を送る冠動脈という血管が狭くなったり、閉塞したりすることで起こる狭心症や心筋梗塞などの治療に使う埋め込み型の医療機器。コバルト合金の筒に独自開発した生分解性のポリマーと薬剤を塗布。薬剤が徐々に放出され、細胞が増殖して再び血管が閉塞してしまうのを防ぐ。ステント自体を薄くし、血管の曲がった部分などにも留置しやすい。

  • 鉄道車両「AT―200」=日立製作所
    鉄道車両「AT―200」=日立製作所

    基本設計や部品を標準化した英国市場向けの近郊通勤車両。セミオーダータイプで最高速度やデザイン、内装などを顧客の要望に応じて変更できる。部品点数を減らし、IoT技術で部品の状態などを常時把握できる。座席にはコンセントと公衆無線LANを備える。2015年3月、英国で鉄道を運行するオランダのアベリオから234両を初受注した。

  • 大規模蓄電システム「レドックスフロー電池」=住友電気工業
    大規模蓄電システム「レドックスフロー電池」=住友電気工業

    リチウムイオン電池などに比べて発火のリスクが極めて小さく、寿命も2倍の20年以上と耐用期間が長い。太陽光や風力発電の変動を抑えられる。北海道で2015年12月に稼働した大型蓄電池は世界最大規模で、一般家庭約6800世帯の1日分に相当する電気をためられる。

  • 虫よけ塗料「アレスムシヨケクリーン」=関西ペイント
    虫よけ塗料「アレスムシヨケクリーン」=関西ペイント

    ユスリカやシロアリなどが寄りつきにくくする成分を含んだ塗料。無色透明で屋内の壁や天井に塗る。2~3年にわたって効果が続く。2014年にマレーシアで発売しデング熱やマラリア対策としてヒット。日本でも15年7月に発売した。

優秀賞(10点)

  • ヒト型ロボット「ペッパー」=ソフトバンクロボティクス
    ヒト型ロボット「ペッパー」=ソフトバンクロボティクス

    人の感情を理解できるロボット。インターネットを介してクラウドとつながり、人工知能(AI)の技術を活用して対話内容を学習し成長できるのが特徴だ。二足歩行ではなく車輪で動く。機動性よりも人との対話機能を重視した。

    家庭向けモデルは本体価格が税別19万8000円。2015年6月の発売以来、毎月1000台の販売分が予約開始直後に完売している。同11月には法人向けモデルの出荷を開始。日産自動車やみずほ銀行、ネスレ日本などが店舗での接客や製品紹介などに活用している。

    スマートフォン(スマホ)のようにアプリ(応用ソフト)を搭載することで接客以外にも店頭での受付業務や介護支援などに用途が広がる。リクルートホールディングスなど200社がアプリ開発への参加を表明。多様なアプリが出回ることで普及したスマホのような存在をめざす。

  • システムキッチン「クリンレディ」=クリナップ
    システムキッチン「クリンレディ」=クリナップ

    クリナップのシステムキッチンの中核商品。手前勾配構造のステンレス製シンク「流レールシンク」を採用したのが最大の特徴で、シンク内のごみを手前に押し流し、外縁部の水路に沿って三角形状の排水口に流す仕組みだ。掃除をするためにわざわざ水を流すのではなく、普段の調理作業時に使う水でゴミを流すことができるため時間と水を節約できる。

    特殊エンボス加工したステンレス製のシンクと排水口は一体成型で、網カゴも含め親水性素材でコーティングしているため、掃除がしやすく、汚れも落としやすい。

    貯水用、葉物野菜洗い用、落ちにくい汚れ洗浄用など3種の吐水が可能な水栓も用意した。オプションの付属品も充実させた。価格はI型基本セットで68万9040円など。

  • 高圧水素用ステンレス鋼「HRX19」=新日鉄住金
    高圧水素用ステンレス鋼「HRX19」=新日鉄住金

    水素ステーションの内部で水素を通す配管に使う。合金成分の配合率や製造方法を改良して、強度を従来製品の2倍に高めた。高圧水素を通す場合でも管の厚みを従来のステンレス管より4割薄くでき、高速で水素充填ができる水素ステーションをより低コストで製造できる。

    子会社の日鉄住金ステンレス鋼管と共同開発した。水素は金属材料の中に侵入し、鋼材の強度を著しく弱める性質がある。さらに高圧で水素をためる水素ステーションでは高い強度が必要となる。金属組織の改良でこうした問題を克服した。

    鋼管をつなぐのに従来は不可能だった溶接工法を採用できるため、工事コストを減らせる。国内で稼働中の水素ステーション15カ所前後で採用されている。

  • 電気自動車「トミーカイラZZ」=GLM
    電気自動車「トミーカイラZZ」=GLM

    スポーツカータイプで、静止状態から3.9秒で時速100キロに到達する。ガソリン車のスポーツカーの場合は4~5秒かかるのに比べ、加速性能が優れる。開発したGLMは京都市に本社を持つ京都大学発ベンチャー。公道を走れる国内初の量産型EVスポーツカーとして、2014年8月から納車を開始した。価格は税別800万円。

    高剛性専用設計アルミフレームを用いた車体設計で、850キログラムという軽量化を実現。機敏なハンドリングを可能にした。1回の充電で約120キロメートルの連続走行が可能だ。

    車体のモデルとなったのは1997年に京都の中小企業「トミタ夢工場」が開発し、国内で206台を販売したスポーツカー。動力を当時のガソリンから電気に置き換えることで加速性能を高め、環境負荷を低減した。京都府舞鶴市の工場で生産している。

  • 公共用トイレ「パブリックコンパクト便器・フラッシュタンク式」=TOTO
    公共用トイレ「パブリックコンパクト便器・フラッシュタンク式」=TOTO

    ビルや公共施設など、多数の人が使うトイレ向けの製品で、奥行きを70センチと通常の便器より6センチ小型に抑え、個室が狭い和式便器からの置き換えに対応できる。

    パブリックトイレでは水道に直結する「フラッシュバルブ式」が一般的。家庭用に多い「タンク式」はタンクに水をためるのに時間がかかり、混雑の原因になる。

    今回のパブリックコンパクト便器は両方の利点をかけあわせた「フラッシュタンク式」を採用。小型タンクでもフラッシュバルブ式と同じ連続洗浄ができる。しかもフラッシュバルブ式に比べ施工が比較的簡単だ。

    外国人観光客が増加するなか、高まる和式便器から洋式便器への置き換え需要に応える。

  • 産業用制御機器「NX701」=オムロン
    産業用制御機器「NX701」=オムロン

    工場の生産ラインなどを制御するプログラマブルロジックコントローラ(PLC)と呼ばれる機器。業界最高の演算処理能力を持つオムロンのフラッグシップ機で、命令実行の速度や動き制御の精度を業界最速・最高とするなど自動化機械制御の基本性能を高めた。

    CPU(中央演算処理装置)に4つのプロセッサーコアを持つインテルのコアi7プロセッサーを採用。基本命令速度を従来の3倍、動き制御の精度を4倍とした。モーターの軸数で最大256軸を同時制御できるため、従来は複数台が必要だった大規模ラインを1台で制御できる。

    高度なデータ処理や通信機能を併せ持つのも特長。2015年4月の発売以来、複数の大手メーカーが導入を決めている。

  • 腕時計型端末「アップルウオッチ」=アップル
    腕時計型端末「アップルウオッチ」=アップル

    2015年4月の発売以降、注目を集め、腕時計タイプのウエアラブル端末市場の成長をけん引した。スマートフォンと連携して電話やメールがすぐに確認できる。ランニングやサイクリング中のデータといった健康管理機能も搭載した。4万円台から200万円を超えるモデルもある。

    男性だけでなく女性の取り込みも狙い、ローズゴールドなどの新色も相次いで投入した。同10月には仏の高級ブランド「エルメス」と開発した商品を発売。一部のアップル直営店とエルメスの店舗では販売開始から数時間で売り切れとなったところもあった。

    バンドの色やデザインを幅広く用意し、消費者の選択肢を広げたのも特徴だ。

  • IoTサービス「お知らせビーコン」=アプリックス
    IoTサービス「お知らせビーコン」=アプリックス

    近距離無線端末「ビーコン」を使って機器をインターネットにつなげる。例えば浄水器に専用モジュール(複合部品)を組み込むと、フィルターの交換時期をビーコン機能を使ってスマートフォンに通知するとともに、フィルターの購入サイトに接続する。国内ではKDDIが販売するIoT製品に採用されたほか、リクルートと実証実験を実施した。

    あらゆる機器がインターネットにつながる「IoT」を手軽に実現できる。企業にとっては消費者が欲しいと思った瞬間に消耗品を販売できる利点がある。

    海外での採用実績が豊富。米国の浄水器メーカーやペット用品メーカーなどに採用された。

  • スティック型パソコン「m―Stick」=マウスコンピューター
    スティック型パソコン「m―Stick」=マウスコンピューター

    キーケース大の小型ケースにパソコン本体の機能を詰め込んだ。2014年12月に日本で初めて製品化。居間のテレビや会議室の大型ディスプレーにパソコン機能を後付けしたり、予備のパソコンを気軽に持ち歩いたりする用途を切り開いた。

    初代機(記憶容量32ギガバイト)の発売時の価格は1万9800円。性能はタブレット(多機能携帯端末)と同程度だが、テレビなどの映像入力端子につなぎ、テレビをディスプレーにして通常のパソコンのように使える。

    インパクトは大きく、発売日には初回分の数千台が即座に売り切れた。国内外のメーカーが製品化で追随した。

  • スニーカー「アシックスタイガー」=アシックス
    スニーカー「アシックスタイガー」=アシックス

    1980~90年代に陸上競技などで使われた靴を復刻し、2015年1月に本格展開を始めた。衝撃吸収の技術など性能面はそのままに、色使いや柄などを今風に変えておしゃれに仕上げたのが特徴。走るより歩くのに適した衝撃緩衝材を利用するなど「街履き」してもらえるような工夫を凝らし、欧米などを中心に需要が拡大している。

    価格は1万円台とやや値が張るが、赤や黄色などの派手な配色のものを用意するなどし、店頭でスニーカー好きな若者を中心に支持を集める。男性のみでなく、普段着にスニーカーを履く「スニーカー女子」が登場するなど性別を超えたスニーカーブームをけん引している存在だ。