(2012年2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相が追加支援の条件として、ギリシャは4月の選挙を延期すべきだと提案した時、筆者には、ギリシャ支援を巡る「ゲーム」がもうすぐ終わることが分かった。我々は、支援の成功と民主主義がもはや両立しないところまで来てしまったのだ。
■ギリシャに極端な保証求める
ショイブレ財務相は、「誤った」民主的選択を回避したいと考えている。類似の案として、選挙は予定通り実施するが、結果にかかわらず大連立内閣を組んでもらうというのもある。ユーロ圏諸国は、自分たちが選んだ政権をギリシャに押しつけたいと思っている。ギリシャはユーロ圏初の植民地になるわけだ。
ショイブレ財務相のジレンマは理解できる。彼はドイツ議会に対する説明責任を負う一方、自分自身がうまくいかないと思っているプログラムの承認を求められている。選挙の前にギリシャ側に資金を渡すのは確かに危険がともなう。ギリシャの新政権と新たに選ばれた議会が合意内容を一方的に変更することを阻止するものがあるだろうか?
ギリシャはこれまで、合意した政策をきちんと実行してこなかった。不信感を持たれるのも無理はない。だが、それを乗り越えるためにユーロ圏は、信じられないほど極端な保証を求めている。
■倫理にもとるドイツの提案
ギリシャに対する挑発はしばらく前からエスカレートしてきた。その第1弾は、内部文書に記されたある刺激的な提案だった。ギリシャの経済政策上の判断に対する拒否権を持つ秘密警察のような組織をアテネに送り込もうというアイデアだ。これが退けられた後、当局者らはギリシャへの支援を直接渡さず「エスクロー」という特別勘定に積み立てることを提案した。ユーロ圏がいつでも、デフォルト(債務不履行)の引き金を引くことなく、ギリシャへの援助の支払いを差し止められるようにするための措置だ。
だが、最も極端なのはやはり、予定されている選挙を延期させ、実務家のルーカス・パパデモス首相が率いる現政権をしばらく続投させるという提案だろう。
債権国が援助先の国の政策運営に介入することと、選挙を延期したり、民主的な手続きの結果から政府を隔離する政策を導入したりするよう援助先の国に求めることとは、全く別の話だ。
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