(2012年2月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
アイルランド政府が最大30億ユーロの国有資産を売却する。EU欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3者(トロイカ)から、国有資産の売却益の3分の1を雇用創出策に充ててもよいと承認されたことを受けた動きである。
■トロイカから譲歩を勝ち取る
売却されるのはガス公社の小売・資産部門と電力供給公社(ESB)のエネルギー供給事業の一部、エアリンガス航空の政府保有株25%。ESBの少数株売却は、民営化を巡り労働組合から懸念の声が上がっているため断念した。
アイルランド政府はこの数カ月間、国有資産の売却益の一部を、負債の返済だけでなく雇用創出に充当できるようトロイカと交渉を重ねてきた。突破口が開けたのは先月のEUとIMFの監視団訪問時だった。アイルランドが救済策で定められた目標をこれまですべて達成し、順調な景気回復を遂げていることが評価され、譲歩を勝ち取った。
アイルランドのブレンダン・ハウリン公共支出・改革相は「これはトロイカの姿勢が大きく変わったことを示しており、アイルランドの景気回復はさらに進むだろう。この譲歩はアイルランドに対する特例で、他の債務危機国には適用されていない」と成果を強調してみせた。
■売却は来年開始、最低でも10億ユーロ
エンダ・ケニー首相は2013年から一部資産の売却を開始する意向を明らかにした。
統一アイルランド党と労働党の連立政府は昨年の総選挙で勝利した際、失業対策を最優先すると公約した。いくつかの雇用対策を講じたにもかかわらず、失業率は14.2%で高止まりしている。
今回のトロイカとの合意では、アイルランド政府は資産売却益の3分の1を再投資できる前提として、最低10億ユーロの資産を売却しなくてはならない。
ハウリン公共支出相によれば、国は国営森林管理会社の一部資産の売却も検討しているという。ただし、同社の土地については売却せず、納税者に価値をもたらさない資産は売却しないと強調した。
アイルランド最大の労組SIPTUのジャック・オコナー事務局長は、市場が低迷している状況で資産売却を行う政府の決定は国民にとり残念きわまりないと批判した。
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