高速バスの料金・サービス競争が止まらない。料金の引き下げだけでなく、乗り心地を高めて高級感を演出したり、出発・到着客の専用乗り場を設けたりする会社が増えた。国土交通省から許可を受けバス会社が運行する路線バスに加え、旅行会社が「募集型企画旅行」として企画し、貸し切りバス会社などに運行委託するツアーバスも入り乱れ、競争は激しさを増すばかりだ。
東京~大阪・名古屋がワンコイン
「東京~大阪・名古屋がワンコイン500円で」。ツアーバスを運行する平成エンタープライズ(埼玉県富士見市)のホームページ上に衝撃的な文字が躍っている。同社は1便あたり1席から最大20席程度を対象に、500円で利用できる特別割引を今年1月から始めた。
同社の東京~大阪便の通常料金は最も安いもので片道3500円。500円ではもちろん採算があわないが、知名度を高めるため、座席数限定で思い切った低料金を打ち出した。旅行企画部の高梨直子課長は「多くのお客様に当社のサイトを見てほしい。お客様がバスを選ぶ際に巡回するサイトの一つに入りたい」と話す。
作戦は的中した。同社のサイトのアクセス数、予約件数は増加。従来は楽天トラベルやヤフートラベルといった旅行会社を通じたネット予約が半分以上を占めていたが、「現在は6~7割を自社サイトで販売するようになった」。その分、旅行会社に支払っていた手数料が減らせるようになったという。
料金だけでなくサービス面の競争も激しい。ツアーバス最大手のウィラー・トラベル(大阪市)は今年7月、個室感覚でくつろげる高速バス「コクーン」を東京~大阪便などに投入した。大型シェルのパーテーション(仕切り)で各座席を仕切り、左右1席ずつの2列シートを斜めに配置した。一人一人のプライベート空間を確保し、飛行機のビジネスクラスを連想させる座席とした。
「高級なバスという概念ではない。新幹線や飛行機が運航していない時間帯に利用できる最も快適な移動空間をつくることを狙った」と、同社の村瀬茂高社長は話す。料金は東京~大阪間で片道9800~11800円。2週間先まで平日の予約は満席で、週末になると1カ月先まで埋まるという。
同社の予約者をみると、高速バス全体では10代と20代の利用者が合計75%を占め、30代以上は25%にとどまる。一方、コクーンは10~20代が35%、30代以上が65%と比率が逆転する。「これまで飛行機や新幹線を利用していたビジネスマンを取り込む」(村瀬社長)という狙い通り、順調な滑り出しをみせているようだ。
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