ドローン利用、安全運用の担保が課題

2015/2/16 18:00
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 米連邦航空局(FAA)は15日、小型ドローン(無人飛行機)の商業利用に関する規制の概要を発表した。規制の施行は2017年ごろとなる見通しで、大規模農業やインフラ管理などでドローンの活用を広げる環境整備につながる。日本でもドローンの商業利用が続々と始まるのに合わせ、安全運用の担保や法規制の整備が課題となっている。

■米は厳しい規制

規制の対象は55ポンド(約25キログラム)以下のドローンの商業利用。今回は米アマゾン・ドット・コムなどが実用化を狙う物流・輸送用の規制は盛り込まれなかった。ルール作りにはなお時間がかかるとみられ、「ドローン配達」の実現は米国では少なくとも18年以降にずれこみそうだ。

利用に際しては、17歳以上で試験を通った有資格者が、視界に入る範囲内で操作するという厳しい条件を課す。高度は500フィート(152メートル)まで、速度は時速100マイル(時速160キロメートル)までに制限する。夜間飛行や飛行機との衝突の危険がある地域での利用は禁止する。

無人飛行機の商業利用、米政府が規制概要発表(2月16日)

■進む商業利用

無人飛行機(ドローン)ビジネスが世界中で離陸期を迎えている。軍事分野で先行してきた米国では、軍需で培った技術・インフラを生かした動きが進み、自治体のドローン関連産業の誘致・育成活動が熱を帯びてきた。商業利用の進展などで経済効果が今後10年間で821億ドル(約9兆7千億円)に上るとの試算もある。

ドローン覇権争い 米が産業化へ先行、追う日中欧(1月12日)

米連邦航空局(FAA)は2014年9月25日、無人飛行機「ドローン」を使った撮影を米映像制作会社6社に許可したと発表した。コンテンツ産業にドローンの利用を初めて認めた。石油施設の監視に続いて撮影用途でも認められ、米国での商業利用が広がりそうだ。

無人飛行機「ドローン」使う撮影許可 米政府、映像制作6社に(2014年9月27日)

米ニューヨーク・タイムズや米ワシントン・ポストなど米メディア10社は現地時間2015年1月15日、報道分野での小型無人飛行機(ドローン)利用に関して米バージニア工科大学と提携したことを明らかにした。

米メディア10社、報道のドローン利用で提携(1月17日)

米国の大規模農家の一部は病気の発見や作付け状況の監視、農薬散布などにドローンを使い始めた。地上センサーや衛星画像では分からない「鳥の目」の情報を得るためだ。ハニーコームやロボフライトといった米ベンチャーが農家向けに特化したドローンを販売している。

ドローンによる撮影で有名なカメラマンのエリック・チェン氏は「これまでドローンの操縦には相当の訓練が必要だった。今後はセンサーなどで動きを自動調整する機能が充実し、簡単になっていくだろう」と話す。

開発競う無人飛行機 物流・農業、アイデア満載(1月3日)

■日本でも利用広がる

NTT東日本が小型の無人飛行機(ドローン)を導入する。3月をメドに6機投入し、作業員が近づくのが難しい地点の設備点検やケーブル敷設などに利用する。災害時の被災状況の確認にも活用する。

NTT東、ドローン導入 設備点検やケーブル敷設に(1月21日)

川にかかった橋の裏側に80センチメートル四方の大きさの無人の小型ヘリコプターが近づいていく。搭載したカメラで撮影するのは橋の裏側にある通信ケーブル用の配管。傷みや亀裂などを確認し、修復・更新計画に役立てる。

老朽インフラ点検、中小活躍 無人ヘリやロボット活用(2014年10月20日)

セコムは2014年12月24日、無人の飛行船を使った警備サービスを2016年に始めると発表した。イベント会場や被災地の上空に飛ばし、不審者の追跡や避難誘導など防犯、防災に生かす。

セコム、空から見張り 16年から無人飛行船で警備(2014年12月24日)

ジオラマ上を飛ぶ民間防犯用「セコム飛行船」の3分の1スケールデモ機(2014年12月24日、東京都渋谷区)

ジオラマ上を飛ぶ民間防犯用「セコム飛行船」の3分の1スケールデモ機(2014年12月24日、東京都渋谷区)

綜合警備保障(ALSOK)は「ドローン」と呼ばれる無人の小型飛行機を活用し、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の定期点検サービスを始める。機体に熱を感知する赤外線センサーを搭載し、パネルの表面温度の違いで異常を感知する。

ALSOK、無人機で太陽光発電点検 センサーで異常感知(2014年9月12日)

太陽光パネルを点検するALSOKのドローン

太陽光パネルを点検するALSOKのドローン

千代田化工建設は石油・ガスなどのプラント建設の資材管理に無人ヘリを導入する。一般にプラント建設現場に数十万点ある資材にICタグを付け、上空から無線通信で物資の所在を簡単に確認可能にする。紛失や盗難への警戒など管理に必要な人手を最大3分の1にまで減らせるという。

千代田化工、無人ヘリでプラントの資材管理 人手3分の1に(2014年6月25日)

■法整備が課題に

無人機は防災や農業など産業利用が広がっているが、航空法などの対象になっていない空域もあり、安全運用の担保が課題になっている。

NEC、無人航空機参入 防災に活用、安全基準満たす(2014年9月18日)

ドローンの商業利用は航空法で想定されていない。航空機の飛行に影響を与えない高度150メートル未満であれば規制対象外と解釈され、企業はその範囲内で運用してきた。

ロボット普及へ法整備 無人機など活用しやすく(1月13日)

コンピューター制御で飛ぶ小型無人機について、航空法に明確な規定はないが、普及を目指す民間団体が安全確保のために自主ルールを設けている。エンジン搭載の無人ヘリコプターなどの安全基準を定めているのが、任意団体の日本産業用無人航空機協会(JUAV)だ。

同協会の安全基準では、まず地上にヒトがいない無人地帯に飛行を限定している。墜落しても人間や財産に被害が及ばないようにするためだ。さらに設計上、故障が発生した時には暴走しないように飛行をやめ、強制的に着陸か、墜落させる機能を備えている必要がある。

無人飛行機の安全確保、民間団体が自主ルール(2014年12月11日)

日本産業用無人航空機協会が安全基準を設けているシングルローターヘリ(揚力を生む回転翼が1つ)=ヤマハ発動機提供

日本産業用無人航空機協会が安全基準を設けているシングルローターヘリ(揚力を生む回転翼が1つ)=ヤマハ発動機提供

同協会の安全基準を基にマルチローターヘリコプター(複数の回転翼をもつヘリ)の安全ガイドラインをつくったのが、産学官の連携で無人機の普及を目指す任意団体、ミニサーベイヤーコンソーシアムだ。

会長の野波健蔵・千葉大学特別教授も「安全確保のために製造者、所有者、操縦者を認証する仕組みをつくる必要がある。それが世界的な流れだ」と指摘する。製造者や操縦者の認証は墜落などの事故を未然に防ぐ狙いで、所有者の認証は盗撮やテロなどの悪用を防ぐためだ。

無人飛行機の安全確保、民間団体が自主ルール(2014年12月11日)

ミニサーベイヤーコンソーシアムが安全ガイドラインを設けているマルチローターヘリ(揚力を生む回転翼が複数)=自律制御システム研究所提供

ミニサーベイヤーコンソーシアムが安全ガイドラインを設けているマルチローターヘリ(揚力を生む回転翼が複数)=自律制御システム研究所提供

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