絶滅危惧種 ウナギ資源を守る

2015/7/22 18:00
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今夏は土用の丑の日が2回ある。ウナギ専門店もにぎわいそうだ

今夏は土用の丑の日が2回ある。ウナギ専門店もにぎわいそうだ

 日本の夏の風物詩、ウナギのかば焼き。絶滅が危惧されているニホンウナギの資源をどう保護・管理していくか。様々な取り組みが進んでいる。

■土用の丑の日とは

「土用」とは暦の立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を指す。その期間中、12日に1回訪れる十二支の「丑」の日が「土用の丑の日」にあたり、年に最低4日は巡ってくる。

夏の土用の丑の日にウナギを食べる習慣は、江戸時代に広まったとされる。発明家の平賀源内の提案で、夏場に売り上げが伸び悩んでいたうなぎ料理店が「本日、土用の丑の日」という看板を張り出したところ繁盛したのが起源という説が有力だ。

浦和のうなぎ店「春の土用の丑の日」をPR(4月18日)

■今年の夏は少し安く

今年の夏はウナギが少し安く買えそうだ。昨年の稚魚豊漁を受けスーパーや外食店が販売価格を引き下げている。昨年より1割ほど安い売り場が目立ち、外食では前倒しで売り出したチェーンもある。

店頭に並ぶうなぎの長焼き(11日午前、東京都世田谷区のいなげや桜新町店)

店頭に並ぶうなぎの長焼き(11日午前、東京都世田谷区のいなげや桜新町店)

今夏は土用の丑の日が7月24日と8月5日の2回あり、商戦も熱を帯びそう。ただ今年は稚魚が再び不漁のため、値下げがいっときで終わる可能性もある。

ウナギ、今年の夏は少し安く 小売店で1割安(7月11日)

■ニホンウナギ、昨夏に絶滅危惧種に指定

 

世界の科学者らで組織する国際自然保護連合(IUCN、スイス)は(2014年6月)12日、絶滅の恐れがある野生生物を指定する最新版の「レッドリスト」にニホンウナギを加えたと発表した。

法的な拘束力はないが、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約が保護対策の参考にしている。資源量が回復しなければ輸出入が規制され、取引価格の上昇を招く可能性もある。

指定の理由には生息地が減少したことや過剰な捕獲などを挙げた。環境汚染や海流の変化も考慮したという。

ニホンウナギ、絶滅危惧種に指定(2014年6月12日)

ウナギ、店に並んでいるのになぜ「絶滅の恐れ」(2014年7月1日)

 IUCNが絶滅危惧種に指定したことで、各国は資源保護の強化を求められている。

■完全養殖、期待の星

 ウナギ資源保護のために期待されているのが完全養殖だ。すでに成功しているが、量産が難しく商業化には少し時間がかかりそうだ。

独立行政法人、水産総合研究センター(横浜市)は2010年、ウナギの受精卵をふ化させて成魚にし、再び産卵させて稚魚を得ることに成功した。

知恵絞る「丑の日」 ウナギ、稚魚減って…(2014年7月29日)

生まれたばかりのウナギの赤ちゃん

生まれたばかりのウナギの赤ちゃん

東京大学の金子豊二教授のグループは、人工的にふ化させたニホンウナギの赤ちゃんが、稚魚であるシラスウナギにまで育つ生存率を向上させる技術を開発した。飼育する海水の塩分濃度を下げる実験で、生存率を約2倍に高めた。

政府は20年までにウナギの完全養殖の実用化を目指している。

ウナギの赤ちゃん、稚魚までの生存率2倍に 東大が技術(7月18日)

■捕る量を減らす試み

ニホンウナギの漁獲・養殖をしている日本、中国、台湾、韓国の政府関係者は(2014年9月)17日、2015年の稚魚(シラスウナギ)の養殖量を2014年比で2割減らす規制導入で合意した。

絶滅危惧種となり輸出入が禁じられるリスクがあり、国際協調で資源保護を急ぐ。

ウナギ養殖、2割削減で日中台韓合意(2014年9月18日)

水産庁はニホンウナギの養殖業者について、従来の届け出制から許可制に移行する方針を決めた。11月以降に新たにウナギ養殖を始める事業者を対象とする。

昨年11月に届け出制を導入したが、さらに許可制に移行することで資源管理の姿勢を前面に打ち出す。

ウナギ養殖を許可制に 水産庁(4月8日)

■生息している環境を解明

 資源保護策の立案には、生態研究も重要だ。

ウナギ研究の権威と世界が認める日本大学の塚本勝巳教授。「大海原でオスとメスがどう出会うのか」。2009年、産卵場所とにらんだマリアナ海嶺付近で卵を初めて採取。サハラ砂漠に落ちた1個のビーズ玉を見つけるくらいの偉業と世界を驚かせた。

ウナギ食文化、俺たちが守る 情熱ささげる研究者(2014年6月27日)

水産総合研究センターの張成年主幹研究員らはニホンウナギを追跡調査し、ウナギが日の出とともに水中深くもぐり、日の入りとともに浮上する性質があることを明らかにした。

この性質を使うと、これまで謎とされていたウナギが海を渡って産卵地に移動する経路をつきとめられるとみられ、絶滅が危惧されるニホンウナギの資源保護に役立つと期待される。

ウナギの一日の行動解明 産卵地への移動経路特定へ(7月19日)

■代用品の研究も進む

ナマズなら完全養殖が可能という=共同

ナマズなら完全養殖が可能という=共同

近畿大は「ウナギ味のナマズ」を開発した。

日本産マナマズは泥臭く、脂質がほとんどない。ただ産地によって脂質が多く、泥臭さが少ない種類もあり、エサや水質の管理を工夫して6年かけてウナギの食味に近づけた。

近畿大「ウナギ味のナマズ」を開発(7月14日)

 こんな商品も。

ラムネなど清涼飲料メーカーの木村飲料(島田市)は、ウナギのエキスを配合したコーラを発売した。「うなぎコーラ」は県内の調味料メーカーが開発したウナギのエキスを配合しており「飲んだ後に魚の香りがする」(木村飲料)のが特徴。店頭想定は1本200円前後

ウナギ風味のコーラ 静岡の木村飲料(7月3日)

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