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雪の女王エルサが解く「失われた20年」の呪縛

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2014/4/25 7:00
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 近ごろ、家に帰ると4人の子ども達が、”Let it go, let it go…” と同じ歌を口癖のように歌い合っているので、遅まきながら話題のディズニー映画「Frozen」(邦訳:アナと雪の女王)を見た。日本でも約1カ月で興行収入が100億円を超えるという、大ヒットの映画だ。内容はさておき、これが我が家で受けた理由はいくつかある。

子ども達には、ありのままで生きてほしい
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子ども達には、ありのままで生きてほしい

■その1:親の役割を再確認

 Don’t let them in. Don’t let them see. Be the good girl…

 雪の女王エルサの両親は、彼女の特殊能力を世間に悟られないように、外出を禁止し、能力の利用を固く禁じた。その能力は使い方次第では役に立つはずなのに、妹のアナを傷つけた過去があるため、封印しようとしたのだ。

 親の言うことを聞いていれば、いつか必ずその能力をコントロールすることができる。そう言い聞かされるのであるが、最愛の妹とも会うことも出来ず、孤独になったエルサはますます情緒不安定になり、悪循環に陥る。

 子どもが家中を散らかせば叱り、外で怪我をすれば過度に心配する。親の思うような、素直で良い子で優等生として振る舞うことを期待される。自戒もこめて、現代っ子の生活は、過保護と過度の期待であふれている。その結果、子ども達は親の望むような幸せな大人になるのであろうか?

 これから大人になってゆく子ども達を待っている世界は、いままでの常識が通じない(むしろ邪魔になる)、予見可能性の低い世界だ。そんな社会や世界で必要なスキルは、”Resilience”(生き抜く力)。人生で襲いかかってくる色々なストレスや困難をはじき返す、心の強さとも言えよう。これは多くの挑戦と失敗、人を傷つけ傷つけられ、嫌な思いを多く経験しなければ、身につけようが無い。

 エルサの場合も、城を飛び出して、真の自分と向き合い、多くの困難に立ち向かうことで、最後には自分の人生をコントロールする強さを身につけることになる。その意味で親としてすべきことは、それぞれの子どもが持つ独自性を大切に、多少世間や社会とぶつかっても、それを温かく見守ること。失敗ととがめず、挑戦を讃えること。何かあったときの最後のとりでになればいいくらいの、心の余裕が必要なのかもしれない。そんなことを考えながら映画を見ていた。

■その2:自分らしく生きる

米国に築いた自分の夢の城。まだ何も無いが、これから多くの夢をかなえていきたい

伊佐山元(いさやま・げん)
1973年2月生まれ。97年東大法卒。日本興業銀行からスタンフォード大学ビジネススクールに留学し、ベンチャーに目覚める。米国大手ベンチャーキャピタルDCMのパートナーを経て、日米のベンチャー支援組織であるWiLを創業。大企業とベンチャーの橋渡しにより、日本のベンチャー業界の活性化を望んでいる。プライベートでは子供にゴルフを教えながら頭と心を鍛えるのが趣味。
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米国に築いた自分の夢の城。まだ何も無いが、これから多くの夢をかなえていきたい

伊佐山元(いさやま・げん)
1973年2月生まれ。97年東大法卒。日本興業銀行からスタンフォード大学ビジネススクールに留学し、ベンチャーに目覚める。米国大手ベンチャーキャピタルDCMのパートナーを経て、日米のベンチャー支援組織であるWiLを創業。大企業とベンチャーの橋渡しにより、日本のベンチャー業界の活性化を望んでいる。プライベートでは子供にゴルフを教えながら頭と心を鍛えるのが趣味。

 雪の女王エルサは、自分の城を飛び出して、吹雪の山頂に到着すると、こう叫ぶ。

 Let it go, let it go

 Turn away and slam the door

 I don’t care what they’re going to say….

 世間がどう思うとも、どう言おうと、自分は自分らしく生きる。扉を閉めて、嫌な過去とは決別する。

 It’s funny how some distance makes everything seem small

 And fears that once controlled me can’t get to me at all

色々な周囲の期待や目を気にしなくなった時に、いままで抱えていた恐怖やストレスが、とてもちっぽけなものに見える。自分は自分らしく生きるのだ。

 子ども達を見ていても、この歌のくだりで一番盛り上がっており、自分の心に素直に生きるエルサに共感しているのだと感じた。素晴らしいアニメの質感もあり、大人も勇気づけられる瞬間である。

 私も、自分の事業を始める当初は多くの恐怖と、世間の目を気にしていたように思う。この事業を周りはどう思うだろうか? 成功するだろうか? 自分の情熱を人は理解してくれるだろうか? 何よりも、事業を始めるための資金は集まるだろうか?不安な思いはいつまでもつきまとう。

 ただ、事業のビジョンと、自分がやるべきミッションが明確になった瞬間に、心配事の大半は消え去り、まさに”Let it go” (なすがままに、ありのままで)の精神で日々過ごすことができているように思う。結局は何かを成す時に一番の障壁になるのは、自分の心。それを解放した時に、自分が進むべき道が開けることを実感した。

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