ニュースな技術

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

脳波で操る「分身ロボット」 高齢化社会の助っ人に、産総研など

(1/2ページ)
2013/3/27 12:34
共有
保存
印刷
その他

 脳で念じることで、人型ロボットが「自分の分身」として自由自在に動き回る――。「アバター」「サロゲート」などのハリウッド映画では、人間が遠隔操作で人型ロボットを思いのままに操る近未来の世界が描かれている。そうした光景が想像以上に早く実現するかもしれない。

産総研の吉田氏(左)とCNRSのケダー氏
画像の拡大

産総研の吉田氏(左)とCNRSのケダー氏

 人型ロボットと人工知能研究のそれぞれの分野で強みを持つ日仏の政府系研究機関がタッグを組み、脳波で人型ロボットを操る研究が進められている。体を自由に動かすことが難しくなる高齢者や障害者のパートナーとして、または、人が立ち入ることができない状況に陥った原発事故の助っ人としてなど、幅広い分野での活躍が期待されている。

 「(ロボットが)振り返る角度をもう少し変えた方がいいんじゃないか」「足の部分のモーターの調子は」――。独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)のAIST-CNRSロボット工学連携研究体長の吉田英一博士やフランス国立科学研究センター(CNRS)のアブデラマン・ケダー教授らが、パソコンの画面に映し出されたアルゴリズム(演算手法)を見ながら議論を交わす。脳波で人型ロボットを自在に操ることを目指す「CNRS―AIST JRL」ジョイントロボティクスラボラトリー)の研究開発メンバーだ。産総研の研究棟では、英語やフランス語が飛び交い、ロボットやアルゴリズムの解析などが日々繰り返されている。

■脳波で「缶つかみ、歩行」

 電極を付けたヘッドギアを装着した仏人研究員が、目の前の画面に映し出された赤、黄、青の缶やペットボトルの中から実際に並べてある黄色の缶に神経を集中させると、人型ロボットが黄色の缶をつかみ、横に設置された机まで歩き、その缶を机に静かに置いた。

ヘッドギアを装着した研究員の脳波をセンサーが読み取って人型ロボットに伝達する

ヘッドギアを装着した研究員の脳波をセンサーが読み取って人型ロボットに伝達する

 缶やペットボトルはパソコンの画面上で点滅している。信号処理装置は、視覚をつかさどる神経が集中する後頭部の脳波(=画像情報)から、被験者がどの物体に集中しているかというデータを読み取る。BCI(ブレインコンピュータインターフェイス)という技術だ。認識した物体から、「つかむ」といった行動をあらかじめ関連付けさせている人型ロボット「HRP―2」にその情報を伝える。

 ロボットを歩かせたい時は、画面の上下左右の矢印を、机のどの場所に置くかを選択する時は、画面に表示される4つの円に「集中」することでロボットがその方向に動いたり、決まった場所に置いたりすることができる。

 産総研とCNRSは2010年6月から共同プロジェクト「VERE(Virtual Embodiment and Robotic Re-Embodiment(ヴェレ)」に取り組んでいる。CNRSから派遣、共同プロジェクトに携わるケダー教授は、「ヒューマノイドロボット(人型ロボット)の先端を行く日本と人工知能研究で強みを持つ仏が得意なところを持ち寄ることで、相乗効果を出せる」と期待する。 同氏によれば仏政府はこのほど、1億ユーロ(120億円)の予算を計上し、高齢者の助けとなるようなサービスロボットの開発に力を入れていくことを表明。特に人型ロボの研究で世界をリードしてきた日本との連携を重視しているという。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

【PR】

ニュースな技術 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

図2 開発した処理装置。空気流によってCFRPの破片をぶつけ合って、樹脂とCFの分離および微細化を行う。現在は年間200トンの処理能力がある

埋め立て廃棄物から有価物へ 炭素繊維プラ、リサイクル [有料会員限定]

 軽量化に向けた素材として、航空機や自動車などさまざまな分野での活用が広がっている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。その課題の1つが「リサイクル性の向上」だ。「約30%が廃棄されている」(ACA代…続き (6/6)

写真1 南洋理工大学の新校舎ザ・ハイブの外観。蜂の巣のような円筒形が寄り添う8階建ての建物だ。設計は英国のヘザウィック・スタジオが手掛けた(写真:日経アーキテクチュア)

外皮の工夫で酷暑しのぐ シンガポール「省エネ建築」 [有料会員限定]

 熱帯に位置するシンガポールは、「建物の消費エネルギー」が大きい。その量は国のエネルギー消費の4割を占め、国は規制強化などの取り組みに注力する。建築では、独自の空調システムや気候を生かした緑化が目立ち…続き (6/5)

図1 米国ワシントン州のシアトル市で進む州道99号の高速道路工事現場。形状記憶合金はオフランプ橋の2本の橋脚に使われた(写真:米国ワシントン州交通局)

汎用材・鉄への挑戦状、「形状記憶合金」橋脚に採用 [有料会員限定]

 地殻に豊富に存在する鉄は、鉄筋や鋼橋の部材のように様々な用途で使われており、土木構造物になくてはならない材料だ。一方、鉄の弱点を克服し、かつ鉄よりも優位な特性を生かした新素材が登場。構造部材として名…続き (5/16)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

07月28日(金)

  • 知らないと蚊帳の外に?正しい広告取引の実現に向けたブロックチェーン活用の意味
  • いま世界で、セキュリティとプライバシーの法制度が大きく変わろうとしている
  • 黒船Spotifyが日本の音楽文化を救う? 田中宗一郎インタビュー

日経産業新聞 ピックアップ2017年7月28日付

2017年7月28日付

・OKI、光ファイバーセンサー発売へ
・タンクの液体、波打ち抑制 中大、地震や運搬向けの装置
・冷凍能力抑え、3割小型化 前川製作所の自然冷媒冷凍機
・ツガミ、自動旋盤の切削力4割向上
・マツダ、米販売店テコ入れ 半数の300店超を対象に…続き

[PR]

関連媒体サイト