「クラブニンテンドーという仕組みを使うとお客さんがどういう性別、年齢かが分かるんですけど、どうぶつの森が発売3週間後の11月末頃にどんな売れ方をしていたかというと、一番飛び出ているのが19歳から24歳の女性。19から24って、わりと任天堂の支持層の少ない年代なんですね。私、見たことないです。任天堂のゲーム機でこういう売れ方するソフト」
「でね、もっと面白いのが、3DSのハード購入者の属性。全体の男女比は男性69%、女性31%という偏りなんですが、どうぶつの森と本体を同時に買った人に限定すると、男性44%、女性56%になる。これね、ちょっと唖然(あぜん)とするほどの数字なんです」
「世の中のよくある議論でいうとね、スマホがあるからもうゲーム専用機なんかいらないっていうことになってるじゃないですか。でも、この19から24の女性って、まさにスマホの人たちですよね。女性カジュアルユーザーはゲーム専用機なんかいらない、というけれど、むしろゲーム専用機の価値を再認識していただけているんです」
■「正直、執念のようなものを感じました」
好調な時ほど岩田社長はデータを多用する傾向にある。喜々として説明する岩田社長の姿は、どこかなつかしい。岩田社長によると、クラブニンテンドーは若干、男性バイアスのかかった母集団。つまり実際の数字は、上記の説明以上に女性が多いということになる。この事件を説明したうえで岩田社長は、「で、どうぶつの森がなぜ今回、こうなったのかということについて、いろいろと考えるところがあるんですが……」と先を急ぐ。
「どうぶつの森って(前世代の)ニンテンドーDSですごく評価いただいて、500万本以上も売れて世の中を驚かせ、DSブームの1つの典型としてかっていただいた。ですが、Wii版ってのがあってね、すごく期待されて世の中に出たんですが、実はあまりうまくいかなかったんですね。我々からすると、すごく反省点が多いソフトだったんです」
「で、どうぶつの森のコアメンバーたちは、そのときの反省をバネにしました。今度こそお客さんに満足してもらえるものを作ろうと。あえてこの言葉を使いますが、開発の中核メンバーたちからは私、正直、執念のようなものを感じました」
「今回、こんなこともできるのか、ここまでやるかっていうくらい、さまざまな仕掛けを本当にたくさん入れてある。加えて、例えばお客さん自身が絵を描いて面白いデザインの家具を作れるみたいなことをいろんなところに反映できるようにした結果、我々が用意した仕組みと、お客さんが発揮したクリエイティビティーのかけ算になって、すごく面白いものになった。それを広めてくれたのは、ソーシャルメディアであり、スマホなんです。今回、どうぶつの森を大人の女性に売ってくれたのは、間違いなくスマホなんですよ」
■どうぶつの森の動画、ユーチューブで160万回再生
スマホは任天堂の敵、ではなかったのか。岩田社長の言葉は次第に熱を帯びていく。
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