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サッカーにおける監督通訳の重要性 「誤訳」の恐ろしさ
サッカージャーナリスト 大住良之

(1/6ページ)
2012/6/29 7:00
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 日本中を「誤訳」が駆け巡ってしまった。多くの日本メディアがその言葉を引用して伝えたが、私もその一端を担いでしまったことを謝罪しなければならない。

 ワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦(6月12日、ブリスベーン)を扱った前回のコラムで、私はオーストラリアのホルガー・オジェック監督のこんな言葉を引用した。記事の冒頭の部分である。

 「内田は、ファウルはしていない。私はテレビで確認した」

 しかし、これは間違いだった。オジェック監督はこんなことは言っていなかった。

「ウチダ…ファウル…」

 以下しばらく「言い訳」になるので、読み飛ばしてもらっていい。

 あの試合の後、私は超特急で書かなければならない原稿があり、試合後、先に行われた日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督の会見が終わると、記者会見場でいつもの最前列から2列目の端に席を移して、原稿にかかり始めた。

 目の前の記者が自分の話を聞いていなかったら、監督もいい気はしないと思ったからである。オジェック監督が入ってくると、そのテーブル上にレコーダーを置き、会見を聞きながら原稿を書き続けていた。

 オジェック監督の口から「ウチダ…ファウル…」という言葉が出るのを聞いたのは、原稿が終わりかけていたころだったと思う。はっとして顔を上げると、通訳の女性が前述のように日本語に訳して語った。

 非常に印象的な言葉だったので、すぐにノートにメモした。そしてその通訳の言葉で会見は終わった。急いで原稿を書き上げて送稿すると、レコーダーを回収し、荷物を片付け、慌ただしく空港に向かった。

機中でコラムを執筆

 日本経済新聞電子版のコラムを書いたのは、ブリスベーンを飛び立った深夜便の機中だった。キャセイ・パシフィック航空はエコノミークラスでも全座席に電源がついていたし、前の座席が倒れてこないタイプのシートだったので、非常に助かった。

 薄暗い機内で、ひざの上の公式記録とノートを見ながら、パソコンと格闘するように書いた。

 日本が取られたPKのシーンについて、ザッケローニ監督とオジェック監督の言葉を並べて冒頭に置いたのは、オジェック監督の言葉(と信じ込んでいたもの)がとても印象的だったからだ。

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