家族信託で財産守る 遺言効果を生前から

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2012/6/2 7:00
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家族の財産管理や承継に「家族信託」を活用する動きが静かに広がっている。主役は「資産は自宅と老後資金」という普通の世帯。遺言や成年後見も含めて弁護士、司法書士らの力を借りたり、信託銀行の商品を使ったりしながら安心できる設計を目指している。

 東京都に住む山下邦子さん(仮名、78)と娘の美子さん(同、45)は先月、東京都中央区で開業する信託に詳しい司法書士、山北英仁氏に相談に訪れた。

 夫に先立たれた邦子さんの資産は自宅と金融資産が3千万円程度。死亡後は美子さんに自宅を相続させる考えだが、山北氏は意外な提案をした。

■贈与税かからず

 「柔軟性のある信託という仕組みも検討したら?」

 信託というと、信託銀行の金融商品を思い浮かべる人が多い。だが、もともとは財産管理の仕組みだ。

 プラン(図A)では、邦子さんを委託者(財産を信託する人)、美子さんを信託の受託者(信託財産の所有名義人で財産管理を行う人)にする。邦子さんが老人ホームに入居するため自宅を売る場合は、その手続きも美子さんが行う。

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 邦子さんは「受益者」(信託の利益を受ける人)として住み続ける。死亡後の自宅所有者を信託契約で美子さんとしておけば美子さんが自宅を相続できる。不動産の法律・実務に詳しい司法書士、弁護士が「信託監督人」として補佐すれば安心できるという。

 邦子さんは自宅の所有権を移すことには抵抗があったが「いずれ美子のものになる」と受け入れた。今、自宅を贈与すれば贈与税がかかる。その点、信託の仕組みで邦子さんが死亡するまで受益者としておけば、名義を移しても贈与税はかからずに済む。邦子さんは遺言と同様のことを生前に実現できるわけだ。

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