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アンドロイド携帯の品質に日本ユーザーは満足できるか?
ジャーナリスト 石川 温

2008/10/23 7:00
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 10月22日、グーグルの携帯プラットフォーム「アンドロイド」を搭載した携帯電話「G1」が、ついにアメリカでT-Mobile USAから発売になった。アップル「iPhone」に比べると静かな船出だが、それでもかなりの注目を集めている。iPhone同様にハワイに買いに行こうと思ったが、すでに予約受付は終了とのことで今回は断念してしまった。

意気込むドコモとKDDI

 さて、日本でのアンドロイドケータイの動向だが、すでに明らかになっているように、NTTドコモとKDDIから発売される見込みだ。

「BlackBerry Bold」を発表したドコモの山田社長(左)=9月29日

「BlackBerry Bold」を発表したドコモの山田社長(左)=9月29日

 ドコモの山田隆持社長は「年明けにかけて10機種程度のスマートフォンを投入する」と明言。すでに発表となっているRIMの「BlackBerry Bold」、HTC製の「Touch Diamond」「Touch Pro」に続いて、アンドロイドケータイが発売されるようだ(ほかにもノキア製がある)。今回、T-Mobile USAから発売されたG1はHTC製であることから、ドコモのアンドロイドもHTC製である可能性が高い。

 一方、KDDIは国内メーカーと協力してアンドロイドを搭載したスマートフォンを計画中。「誰もがほしいと思えるようなスマートフォンにしたい」と開発担当者が語っていることから、相当、自信のあるモデルであるようだ。KDDIとしては、来春発売予定のHTC製「E30HT」よりも、アンドロイド搭載スマートフォンのほうを「本命」と位置づけているだけに、かなり期待してもよいだろう。

 サービス面に関しては、ドコモでは「いままでスマートフォンが売れてこなかったのはiモード非対応だったから」という反省点を踏まえ、iモード対応が必須になってくるものと思われる。いずれはプッシュでiモードメールが受け取れるようになるだろう。

決算会見で「アンドロイドについて積極的に取り組んでいる」と語ったKDDIの小野寺社長=10月22日

決算会見で「アンドロイドについて積極的に取り組んでいる」と語ったKDDIの小野寺社長=10月22日

 KDDIはアンドロイド搭載スマートフォンを既存のEZウェブ搭載ケータイとは別のラインアップとして位置づけ、「オープンプラットフォーム対応ケータイの象徴」として、売り出していくことになりそうだ。既存のEZ関連サービスには対応しないことも視野に入れている。KDDIの小野寺正社長は「オープン化とEZウェブのような垂直統合モデルはしばらく共存する」と、22日の決算発表会見で語った。

日本では考えられない開発スピード

 グーグルが「アンドロイド」というコンセプトを提案してから、わずか1年で製品が出たことには、やや驚きがある。確かにリナックスをベースにしており開発者も多いことから、開発スピードが速いことは予想できたが、ひとつのプラットフォームがこれほど短期間で製品に搭載されてしまうというのは、日本のケータイ業界では考えられないことだろう。

 今年2月にバルセロナで開催されたMWCでは、アンドロイド搭載ケータイの試作機がお目見えするかと思いきや、評価ボード程度しか展示されなかった。「開発が遅れている」(国内キャリア関係者)とのことで、計画通りに製品化が進んでいないことは明らかだった。一部には「初搭載機種の登場は2009年になるのではないか」とも噂されたが、結局は10月22日の発売にこぎ着けたのだった。

「KCP+」を搭載した07年秋冬モデルの「W56T」

「KCP+」を搭載した07年秋冬モデルの「W56T」

 高機能なプラットフォームをゼロから構築するには相当な時間を必要とする。例えば、KDDIの「KCP+」も2006年7月にコンセプトがメディアに発表されたあと、実際に製品が発表されたのは2007年秋冬モデル。さらに製品として世に出たのは2008年になってからだ。2008年夏モデルでもKCP+は完成型とは言えず、現在も進化を続けている途中である。プラットフォームがきっちりと稼働するには相当な年月が必要となる。

日本のユーザーは満足できるか?

 アンドロイドは、アメリカのユーザーであれば喜んで使うかもしれない。しかし、ケータイに高い品質を求める日本のユーザーが満足できるクオリティーにあるかはかなり疑問だ。複数の機能を同時に動かしたときにきっちりと安定して稼働するか、セキュリティーの不安はないか、など気になる点は多い。アンドロイド開発に携わる国内関係者も「アンドロイドは決して高い品質だとは言い難い」と本音を漏らす。

 アンドロイドに日本のユーザーが満足できるような品質を求めるとなると、それだけ独自の開発コストやバグを修正する期間が必要になってくる。キャリアやメーカーとしても時間をかけざるを得なくなる。しかしそれでは、絶好の商機を逃すことにつながりかねない。

 となると、キャリアとしては「(品質においては)割り切って投入して、ユーザーに納得して使ってもらう」(関係者)というスタンスを選ぶことになるだろう。アンドロイドもiPhone 3Gのように、当初の製品版では安定して動かないかもしれないが、バージョンアップすることで徐々に品質を高めていく、という手法をとらざるを得なくなる。

 アンドロイドもiPhone 3Gもケータイの顔をしたコンピューターというほうが正しい。仮にフリーズする、データが消えるといったトラブルに直面しても、笑顔でリセットできる広い度量がないと、スマートフォンとはつきあえないのだ。

 2009年にも日本上陸すると言われているアンドロイドケータイ。日本メーカーによる高い品質を持ったケータイに慣れ親しんだユーザーに、受け入れられるだけのクオリティーにどこまで近づけるのか。興味深いところである。

[IT PLUS 2008年10月23日掲載]

〈筆者プロフィル〉 石川温(いしかわ・つつむ) 月刊誌「日経Trendy」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。近著に「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦」(技術評論社)など。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226

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