4月13日付の本連載でWiL創業者の伊佐山元氏が書いた「表敬訪問は嫌われる 会話は『等価交換』で」がシリコンバレーの日本人仲間の間で好評だ。確かに武勇伝と記念写真づくり以上の目的がなさそうな人に企業の紹介を頼まれても、なかなか気が進まない。

はやし・のぶゆき 最新の技術が生活や文化に与える影響を23年にわたり取材。マイクロソフトやグーグルのサイトで連載を執筆したほか、海外メディアに日本の技術文化を紹介している。東京都出身。
■誰でも参加できる会も多い
一方で、シリコンバレーの文化を知らない日本企業にこそ、そうした文化に触れてもらい21世紀流新興ビジネスのスピード感や温度感を感じてほしいとも思う。どうしたらいいのか。
お勧めは現地のエンジニアらが集まる交流会や懇親会への参加だ。彼らも勉強熱心なので、こうした会は頻繁に開催されている。
起業家や経営者らが集まる会も多いが、招待ベースで開かれることが多い。こうした層と顔を合わせるには、展示会などの後に開かれる懇親会に参加するのがよいだろう。
エンジニアらが集まる会であればインターネットを使って簡単に見つけられる。出欠などの管理を合理化すべく、IT(情報技術)サービスを使って会を招集していることが多い。また、誰でも参加できるオープンな会も多いので、旅程にあわせた会が見つけやすい。
筆者の知り合いには「meetup.com」というサービスを使っている人が多い。シリコンバレー在住の日本人エンジニアの集会などにもよく活用されている。
先日、春休みを利用してどうしてもシリコンバレーを訪問したいという高校生がいたが、正直、どこまで現地の友人を紹介したらいいのか判断がつかなかったので、meetupにあった日本人エンジニアが集まる会を1つ紹介して向かわせた。
日本人といってもソニーやトヨタなど現地日本法人の技術者もいれば、アップルやグーグル、ツイッターといった米国の大企業に勤めている人たちもいる。現地に自分のオフィスを構えてチャレンジをしている日本人もいる。
その高校生はその場で有名IT企業のエンジニアらと次々と親しくなり、わずか数日の滞在で憧れだった企業は一通り訪問できたようだ。
■自分の知識や経験を共有
武勇伝のために、有名企業をどこか1社だけ訪問するのと、1回のイベント参加で有名企業数社に知り合いをつくり、それぞれの企業の姿勢や取り組みを聞くのとでは、後者の方がはるかに得るものが多い。
情報収集だけでなく、あなた自身が持っている商品を紹介し現地の人々の反応を試したり、利用者を増やしたりしてもらう上でも、この方がはるかに効率がいい。
もちろん、周りの大人が応援してあげたくなる高校生が参加した場合と、あなたが参加した場合では、周りの受け入れ方も違うのは当然だろう。
だが、あなた自身がこれまでの仕事での知識や経験を共有するだけでも歓迎してくれる人達は意外に多い(もちろん、その経験の量や深さにもよるが)。
勉強熱心な彼らは、自分たちがよく知らないテクノロジーや知らない市場の反応、知らない市場の特異性といったものへの関心が強く、そうした情報を得ることに非常に価値を感じている。その証拠にシリコンバレーから私を訪ねてくる起業家達も「~の分野については◯年の経験があるので、あなたにとっても面白い話ができるはず」と自分たちの経験を材料に、カジュアルな面会を申し込んでくる人達が多い。
次回の訪米時は、ぜひともこうした交流会に足を運びシリコンバレーの温度感を肌で吸収してきてもらえればと思う。
[日経産業新聞2014年5月6日付]












