墨田ブランド、町工場から続々 ツリーで脚光、復権狙う

2012/4/28付
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 金属加工や製本、繊維、皮革――。江戸の職人気風が息づく東京都墨田区の町工場から自社ブランド製品が相次ぎ誕生している。東京スカイツリー開業に合わせて「ものづくりの復権」をにらむ墨田区の産業振興策の成果が表れ始めた。不況などで将来を憂う30~40代の経営者らが担い手で、町工場の新境地を切り開こうとしている。

百貨店の展示販売会で「すみだブランド」をPR(中央区の銀座三越)

 発売から3年。社員10人の製本工場、伊藤バインダリーのブロック型のメモ帳などは発売後、瞬く間に高い評価を得た。日本でグッドデザイン賞を獲得したほか、米ニューヨーク近代美術館(MoMA)のショップを飾る。仏パリで1月に開かれた世界最大規模の雑貨見本市の後、十数件の商談が舞い込んだ。

■高度な職人技

 正方形とはがき、横長の3タイプ。白・黒・赤3色のシンプルなメモ帳は、どの裁断面も滑らかな指触りで、同じつややかさを持つ厚底の台紙と重なり合う。職人の手作業をはさむ高度な製本技術の凝縮という。台紙に使うのは廃材扱いだった段ボールの古紙だ。

 祖父の代から下請けに徹して50年余り。常務の伊藤雅樹さん(38)は「不況の中、手を打たなければ先細りするだけ」と話す。価格は1000~2000円前後。大量生産はできないが、初めての自社ブランド商品で生き残りの道を目指す。

 東京都の中で、墨田区は大田区と並ぶ町工場の集積地だ。だが、大手メーカーの海外進出などで下請けの役割を徐々に奪われ、その数はピーク時の3分の1の3400にまで激減した。

 そんな逆風の中、墨田区は2010年春に「すみだ地域ブランド戦略」を掲げ、独自の地域ブランド「すみだモダン」の認証制度を設けた。東京スカイツリーの前景気に沸く中で、区の産業振興も狙おうというものだ。

■デザイン磨く

 新進デザイナーとの共同事業がメモ帳のような新しい商品を産み、この2年間で43社51点の「すみだモダン」の認証につなげる。スカイツリーの開業後は併設の商業施設で売り込むという。

 風船メーカーのマルサ斉藤ゴムは「ふうせんバレーボール用風船」で認証を得た。北九州市発祥のふうせんバレーは障害者や高齢者向けのスポーツ。通常の3倍の厚さと原料配合の妙による軟らかさを併せ持ち、直径40センチに膨らむ風船は少々のことで割れない。

 年間約5万個。公式球に愛用される安全・安心感を支えるのが、昔ながらの製法を受け継ぎ、日本で最後となった千葉県銚子市の手作り工場。斉藤ゴムは主力製品をタイで生産する中、手間のかかるものは銚子の職人に仕事を頼んできた。3代目社長の斉藤靖之さん(37)は「伝統を守り、幅広い年代が楽しめる商品を開発したい」と話す。

 後継者不足で衰退著しい地場産業の豚革加工を独創的な発想で商品化したのはコージローだ。手もみでくしゃくしゃとした和紙の風合いや触感が売りのバッグやモバイルケースなどは4000~1万円台。大手百貨店から引き合いもあるとか。

 2年前に墨田に移転した社員2人の会社。堤光治さん(44)は「脇役扱いされてきた素材の良さを引き出したい」という。

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