観光、近郊客頼みの活況 震災半年後の首都圏(3)

2011/9/15付
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 8月に同月としては過去最高の来場者数となった東京ディズニーリゾート(TDR)。千葉県浦安市内の周辺ホテルも活況を呈している。サンルートプラザ東京の8月の稼働率は99.4%と前年を上回った。「9月以降も予約状況は好調」(営業企画室)。浦安ブライトンホテルも8月は稼働率91%と前年並みで、9月は前年を上回るペースという。

■割引で集客増加

巨大月餅の切り分けのイベントには例年より50~60人多い350人が参加した(12日、横浜市のローズホテル横浜)
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巨大月餅の切り分けのイベントには例年より50~60人多い350人が参加した(12日、横浜市のローズホテル横浜)

 横浜・中華街にも観光客が戻っている。12日、ローズホテル横浜が毎年、日本の十五夜にあたる「中秋節」に実施している巨大月餅(げっぺい)の切り分けイベント。例年よりも50~60人多い約350人が集まった。横浜市が集計した8月の市内の主要42ホテルの稼働率は83%と前年を3ポイント上回った。

 一見、震災前の状況に戻ったようだが、事情がやや異なる。にぎわいを回復する首都圏の観光地をみると、あるキーワードが浮かび上がる。「近郊」だ。

 遠出を避け、近場で楽しもうという人が多かったようだ。東京ベイ舞浜ホテルでは8月、東京、千葉、埼玉の宿泊客の売上高が前年同月比4割近く増えた。TDRは7月上旬~8月末に子供料金を半額にするなどの割引サービスを次々と実施。首都圏や甲信越からの来訪を後押しした。ローズホテル横浜も神奈川県内の宿泊客の増加が下支えしている。

 同様の傾向は他の観光地で見て取れる。

 箱根ホテル小涌園では8、9月は満室の状態が続いている。箱根小涌園ユネッサンは、8月の入場者数が約17万6000人と3.5%増。関東周辺からの来訪者が7割以上を占める。

■訪日客回復鈍く

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 近郊客の増加は裏を返せば、西日本や外国からの観光客が減っていることを示す。東京ベイ舞浜ホテルでは8月、近畿以西からの宿泊客が大幅に減り、同地域の宿泊客の売り上げは3割減った。

 特に原発事故の影響や円高を背景に外国人の回復は鈍い。日本政府観光局によると7月の訪日外国人数は前年同月比で36%減。縮小しているもののなお減少幅は大きい。

 富士山観光の情報発信拠点である山梨県立富士ビジターセンター(富士河口湖町)の7~8月の入館者数は日本人が17%増の2万7171人に対し、外国人は62%減の1万397人だった。

 東京・秋葉原にある家電量販店、ラオックス本店では外国人客が5月後半から回復傾向を示しているが、それでも8月は前年の半分程度という。はとバス(東京・大田)の8月の外国人利用者は前年の3割以下だった。

 今後の見通しでは慎重な見方が出る。オリエンタルランドの上西京一郎社長は「今の状況が続くのか9月を見たうえで見極めたい」と語る。

 実際、近郊客の獲得競争の激化から苦戦している観光地もある。

 9月4日の日曜日。「小江戸」と呼ばれ、昔ながらの街並みが人気の埼玉県川越市では人通りがまばらだった。市の観光客数の調査では、8月は約1割減。千葉県南房総市は宿泊者に2000円の商品券を贈るキャンペーンなど観光振興に約1億円の予算を計上したが、千葉県によると、今夏の南房総地区の宿泊数は14.6%減った。

 ツーリズム・マーケティング研究所の酒井健太郎研究員は「遠方からの観光客は増えず、近郊客が支える状況は続く。知名度の高い観光地は積極的なPRで集客しているが、それ以外は厳しい」と指摘する。

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