沖縄貨物ハブ、アジア路線を拡大 全日空・前谷支店長に聞く

2012/2/16付
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 全日本空輸が那覇空港で運営する国際物流基地「沖縄貨物ハブ」。文字通り「ハブ(=中心軸)」として、沖縄を拠点に国内外の8都市を結ぶ。2009年10月の稼働後、那覇空港の外国貨物取扱量は急増、沖縄県も経済自立の核として期待を寄せる。全日空沖縄支店の前谷哲郎支店長(56)はアジアの需要を取り込みつつ、国際的な貨物拠点に押し上げる戦略を描き、「県とともに沖縄ハブ周辺への企業誘致を進めたい」と話す。

 ――沖縄ハブの実績は。

 「搭載率は75%ほどで、そこそこの実績だ。搭載量は年間約15万トンで、外国貨物量は成田、関西空港に次ぐ国内3位。稼働から2年あまりで、顧客の認知度も向上した」

 「ただ、収入では目標を下回る。国際宅配便よりも速く、夕方に日本で集配し翌朝、現地に届けるスピードが一番のセールスポイントだが、高単価で速達性が求められる書類や商品サンプルなどの需要を取り込み切れていない」

 ――欧州債務危機や昨年のタイ大洪水の影響は。

 「欧州向けは取扱量が減少した。タイ向けでは洪水以降、輸送量が増えている。当初は緊急援助物資を輸送したが、工場の操業再開後は部品輸送の需要が出ているようだ」

 ――アジアの需要動向は。

 「必ずしも全体ではないが、アジアには勢いがある。例えば韓国・ソウルから沖縄を経由して中国本土や台湾へ輸送する3国間輸送は好調で、全体の取扱量の4分の1を超えた」

 「もともと本土と結ぶ路線は3路線で、海外は5路線。3国間輸送がなければ満載にならず、ハブモデルも実現しない」

 「東日本大震災やタイの洪水の影響などで、企業の機能分散が進めば、一段の需要が期待できると考えている」

 ――今後の成長戦略は。

 「新路線を拡大したい。昨年12月に成田―那覇を2便に増やした。東南アジアで沖縄ハブから直行便が飛んでいない都市への需要はまだまだある。次はシンガポールやインドネシア、ベトナムなどが候補だ」

 「沖縄ハブは構想当初、大型機による欧米向け輸送を想定、年間40万トン規模の輸送量を計画していた。しかし、これは08年のリーマン・ショック前の計画。現在は、アジアに軸足を置き、中型機できめ細かく需要に対応しく方針だ」

 「国際物流大手の独DHLなどが得意とする商品サンプルや修理品などの顧客を開拓したい。電子機器の修理拠点や物流拠点など、素早い配送が必要な企業が空港周辺にあれば望ましい」

 ――県も臨空型産業の集積に取り組んでいる。

 「県とは運命共同体だと思っている。産業集積は航空会社にとってメリットなので続けてほしい。半面、路線が少なければ企業も進出意欲をそがれるだろう。全日空としては路線を充実し、機能を向上することで企業誘致に貢献したい」

 「当面は、県とともに沖縄ハブ周辺への県外企業や物流関連企業の誘致を進める。視察の受け入れや営業活動を積極的に推進していきたい」

〈記者の目〉「沖縄発」貨物、全体の1%未満
 那覇空港の2011年の輸出入貨物の総取扱量は14万931トンと、東日本大震災の影響で10年に比べて4.9%減少したが、09年に比べると6.5倍。ほとんどが沖縄ハブの取り扱いだ。
 ただ、ほぼ全量が沖縄を通過するだけで、沖縄発の貨物は年間200トン程度と全体の1%未満。積み荷は生鮮品や加工食品がほとんどだ。
 12年度からの新たな沖縄振興特別措置法案には「国際物流拠点産業集積地域」の創設が盛り込まれた。倉庫業や電子機器の修理拠点など、那覇空港で貨物を積み降ろす企業を誘致できれば、沖縄ハブの利用拡大を起点とした地元経済の好循環が期待できそうだ。
(那覇支局 牛山知也)

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