欧州車、北米市場へのシフト強める

2013/5/1付
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 【フランクフルト=加藤貴行】欧州自動車大手が北米市場へのシフトを強めている。危機下の欧州市場の不振に加え、新興国も成長が鈍化し、独フォルクスワーゲン(VW)、フィアット(イタリア)などの2013年1~3月期は軒並み営業減益となった。高級車や大型車の販売が好調な米国市場への攻勢で業績の立て直しを狙う。先行する米国、日本メーカーとの競争が激化しそうだ。

 フィアットのセルジオ・マルキオーネ最高経営責任者(CEO)は4月29日の電話会見で米クライスラーとの経営統合に改めて意欲を見せた。現在、58.5%を保有する米クライスラーの株式を買い増す方針を示したうえで、「(統合後の本社は)我々の事業を推進するのにふさわしい場所になるだろう」と述べ、本社の米国移転まで示唆した。

 ここまで踏み込む背景にはクライスラー頼みの収益構造がある。フィアットの1~3月期の営業利益は6億ユーロ(約770億円)と前年同期比で3割減。おひざ元の欧州の赤字が続く一方、北米は4億ユーロを稼いだ。クライスラーとの統合を急ぎ、収益立て直しを狙う。

 1~3月の米国でのグループ販売台数は8%増の42万8千台で、シェアは11.6%と0.1ポイント伸ばした。今年はクライスラーのSUV(多目的スポーツ車)「ジープ」の新モデル投入でさらにシェアを増やす構えだ。

際立つ伸び率

 VWは「米国市場への回帰」で営業利益の減益幅を26%減の23億ユーロに抑えた。同社は1980年代に米国生産から一度撤退。メキシコ工場の生産車を米国に売っていたが、11年にテネシー州チャタヌーガで新工場を稼働したことで減益幅を縮小した。同工場から米国仕様の戦略セダン「パサート」を投入。VWの1~3月で北米の伸びは15%増と伸びが際立つ。

 営業利益が6割弱減った独ダイムラーの事情も同じ。米国販売は12%増の7万5千台とシェアは0.1ポイント増えた。昨秋投入のメルセデス・ベンツの小型車「Aクラス」が支え、今年はセダン「Eクラス」の新モデルの投入も控えている。

 各社が北米市場に照準を合わせる背景には新興国の変調も影響している。ダイムラーやフィアットのアジアや南米での業績は販売台数は増えても減収。新興国は価格競争が激しく収益性は低下傾向にある。これに対し、米国は「消費者心理が好転し、(シェール革命で)安いエネルギーが手に入る」(VW)。

日米勢と競合

 ただ、1~3月の欧州メーカーの米市場でのシェアは9.2%と0.1ポイント増どまり。米ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車の高級車が販売を伸ばしている。日本メーカーにとっては円高修正が対米輸出の追い風となる。

 一方、低価格車への関心が低下したことで韓国の現代自動車はシェアを落としている。今後は韓国勢の隙間を欧州と米日メーカーが争う構図になりそうだ。

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