ミャンマー、電力不足克服が課題に急浮上

2012/5/23付
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 【バンコク=高橋徹】民主化・経済改革が加速するミャンマーで電力不足が課題に急浮上してきた。乾期で上流ダムの貯水量が減少しているところに送電設備事故が追い打ちをかけ、ヤンゴンなど大都市で例年以上に停電が深刻になっている。電力問題の改善に手間取れば社会不安が高まる可能性があるだけに、政府は緊急対策を打ち出した。日本のインフラ関連企業は商機ととらえている。

 「先週までは午前中は送電されていたが、今週に入って終日止まっている」。23日、ヤンゴン郊外のミンガラドン工業団地に縫製工場があるTIガーメントの山本俊郎社長は嘆いた。

 自家発電設備をフル稼働して操業を続けているが、電気代は通常の2倍かかる。山本社長は「1週間ほど前に雨期入りしており、ダム貯水量が回復する6月まで辛抱するしかない」と語る。

 ミャンマーは発電量の7割を水力に頼り、乾期(11~4月)には慢性的な電力不足に悩まされる。今年も4月後半から停電が頻発していたが、それに拍車をかけたのが想定外の事件だった。

 国営紙によると北部のシャン州で19日、基幹送電線の鉄塔4カ所が破壊された。政府は停戦交渉が難航している少数民族武装勢力、カチン独立軍(KIA)が爆破したと批判。KIAは犯行を否定するが、山岳地帯にある水力発電所からの電力供給に支障が生じた。

 電力不足は主要消費地である都市部の生活に打撃を与える。例えばヤンゴン市内の一般家庭では先週まで計画停電が1日6時間行われていたが、鉄塔が破壊されて以降、それが18時間に延びた。

 国民の我慢は限界に近づく。中部の商業都市マンダレーで20日以降、1千人規模の市民が送電カットに抗議する集会を開催。旧軍事政権下の2007年にヤンゴンで大規模な反政府デモが国軍に武力鎮圧されて以来、本格的なデモは初めてだ。22日にはヤンゴンにも飛び火したが、平和的に行われているため、政府は事態を静観している。

 政府はむしろ国民への説明に力を入れる。22日付の国営3紙は「電力供給減少に関する国民へのお願い」と題した異例の記事を一斉に掲載。破壊された鉄塔の修復を含め、電力需給や政府の対策を詳細に説明した。

 それによると同国内には水力18カ所を含む29の発電所があるが、ダムの水量が減る乾期の発電能力は最大134万キロワットにとどまる。同じ時期の瞬間最大需要(185万キロワット)に足りないうえ、鉄塔の破壊でさらに20万キロワットの電力が失われたという。自家発電装置を持つ工場への送電を止め、一般家庭への供給を優先しているとしつつも、節電や地域ごとの輪番停電への協力に理解を求めた。

 政府は緊急対策として米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米キャタピラーと協力して自家発電機の導入を進める。長期的にはヤンゴン郊外に日本のJパワーと共同で出力60万キロワットの石炭火力発電所、韓国BKBとは天然ガス火力発電所を建設する計画があると表明した。

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